長時間労働やパワハラ、セクハラなどの仕事上のストレスをきっかけに、うつ病・適応障害などの心の病を発症した場合、労災が認められる場合があります。
うつ病などの心の病も労災

3か月くらい前から、朝起きれなくて体がだるくなって、次第に気分が落ち込むようになって…心療内科に行ったら、うつ病と診断されました。

それは、お辛いですね。

病院の先生が、労災がどうとか言ってたんです。でも、労災って、ケガしたときの…

労災と聞くと、仕事中の事故をイメージしますよね。でも、労災は、ケガだけじゃないんです。
うつ病などの心の病も労災の対象です。

ホントですか?わたし、自分が弱いだけかもって…

決してそんな風に考えないでください。
ウサラさんは、何も悪くないですよ。
ポイント①うつ病などの心の病も労災の対象
労災と聞くと、仕事中の事故でケガをした場合の保険とイメージしている方が多いかもしれません。ケガだけでなく、いわゆる職業病も労災保険の対象です。
長時間労働、パワハラ、セクハラなど仕事上の強いストレスが原因で、うつ病や適応障害などの心の病になった場合は、労災と認められる場合があります。
うつ病などの心の病が労災と認められるには?

わたし、派遣社員なんですが、労災申請できるんですか?

もちろんです。
ところで、職場で、うつ病になるような出来事はありましたか?

職場の上司にずっと怒鳴られて。「派遣なんだから、黙ってやれ」とか、「そんなこともできないのか」って…

パワハラですね。
誰かに相談しましたか?

派遣会社には相談したんですが、結局、何も変わらなくて…
わたしの場合、労災は認められるんでしょうか?

うつ病が、全て、労災になるわけではありませんが、厚労省の認定基準を満たした場合は、労災になります。
一般的にイメージするパワハラでは、労災と認められないんです。パワハラ+長時間労働といった合わせ技で、労災請求することが多いです。
ウサラさんの場合は、会社に相談後もパワハラが続いていたので、労災と認められるかもしれません。
ポイント②仕事による強いストレスがあると認められば労災
うつ病などの心の病の労災は、厚労省が定めた認定基準があります。以下の3つの要件を満たせば、労災と認定されます。
3つの要件の内、最も重要な要件は、②の「仕事による強いストレスが認められる」です。
仕事による強いストレス
②仕事による強いストレスがあったかどうかは、認定基準の「業務による心理的負荷評価表」に基づいて判断します。
心の病を発症した6か月前の仕事による強いストレスを感じた具体的な出来事を「業務による心理的負荷評価表」に当てはめます。当てはめた結果、心理的負荷の強度が「強」と判断されれば、労災と認定されます。
したがって、仕事によるストレスで心の病を発症したと思っていても、全てが労災になるわけではありません。
たとえば、ストレスの原因がパワハラの場合、一般的にイメージするパワハラでは、心理的負荷負荷の強度が「強」と判断されません。通常は、パワハラだけではなく、長時間労働や他に仕事による強いストレスを感じた具体的な出来事と併せて、労災請求をすることが多いです。
証拠がない場合は?

労災の請求って難しそう…証拠とかも必要なんですか?

労災事故と比べると、心の病の労災請求は、大変です。
ボイスレコーダーや同僚の証言といった証拠があるかどうかは重要です。ただ、証拠がないからといって、労災請求を諦めるのは、もったいないです。
ポイント③証拠がなくても労災請求してみる
心の病で労災と認められるには、仕事による強いストレスによって、心の病を発症したことを労働者自身が証明しなければなりません。
長時間労働が原因であれば、労働時間がわかるタイムカードや会社のPCのログイン履歴などの客観的な証拠が必要です。
パワハラの場合は、録音や目撃した同僚の証言があるといいです。日記などの労働者自身の記録が証拠として認められる場合もあります。セクハラの場合は、客観的な証拠がなくても、労働者の証言のみでセクハラの事実があったとして、労災かどうかの評価が行われる可能性があります。
したがって、証拠がなくても、労災請求自体を諦める必要はないでしょう。
心の病の労災請求は主治医に相談を

労災の請求って、わたし一人でできますか?

労基署に相談すれば、請求自体は一人でできます。
ただ、心の病の労災は、労基署でも判断が難しい事案です。弁護士を頼っていただく方がいいと思います。

あと、労災請求して大丈夫か?を必ず主治医に相談してください。

どうしてですか?

心の病で労災と認定されるには、認定基準に即して、仕事で強いストレスを感じたことを具体的に主張する必要があります。
ウサラさんの場合、「上司から日々、人格を否定されることを言われてました。」という主張ではダメなんです。
いつ、どこで、どのような状況で、誰かから、どのような言動があったかを具体的に主張する必要があります。

つまり、労災の請求をすると、必然的に、上司から言われたパワハラの言動を全て思い出していただくことになります。その結果、病状が悪化してしまうことがあるんです。
労災の請求をしても大丈夫な病状かを主治医に相談してくださいね。

そういうことなんですね。今度の診察のときに、先生に相談してみます。
ポイント④労災請求することを主治医に相談
心の病で労災の請求をする場合、主治医の先生に相談することをお勧めします。
診断書を書いてもらう、意見書を書いてもらう、労基署からの照会に対応してもらうことをお願いするというのが、一つの理由です。
もう一つの理由は、労災請求することで、病状が悪化する可能性があるからです。心の病の労災は、仕事による強いストレスによって発症したと証明できれば、労災と認定されます。そのためには、仕事による強いストレスを感じた具体的な出来事を主張・証明する必要があります。パワハラの場合は、いつ、どこで、誰から、どのような状況で、どんなことを言われたのかを具体的に主張する必要があります。そのことを思い出して、病状が悪化するおそれがあるのです。
そのため、法律事務所エソラでは、心の病で労災請求する場合は、必ず主治医の許可を得るようにお願いしています。
うつ病などの心の病の労災請求を考えてる方へ
うつ病、適応障害などの心の病の労災は、労基署でも判断が難しい事案です。労災と認定されるには、認定基準に即して、具体的な出来事を主張・証明する必要があります。そのためには、労災の認定基準を理解していることが必要です。
弁護士は、労災の認定基準の専門知識を持っています。労災保険の請求から訴訟まで全ての手続きに対応できます。
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