労基署の認定に不服がある場合の手続き
労災保険をめぐる問題は、大きく、以下の3つに分けられます。
労基署長の決定(原処分といいます。)が不支給決定や支給はされるが、後遺障害の等級が低いという場合は、以下の方法により争うことになります。
審査請求
原処分に不服がある場合は、原処分の通知があったことを知った日の翌日から3か月以内に、労働局の労働保険審査官に対し、審査請求をすることができます(労災保険法38条1項、労審法8条1項)。
従前は、60日以内に審査請求を行う必要がありましたが、期間が延長されました。
労災保険の決定は、はがきで通知されます。しかし、決定の理由がまったくわかりません。労基署の担当者に電話すれば、簡単に教えてもらえますが、十分ではありません。
審査請求の期限が延長されたので、審査請求の前に、保有個人情報開示請求を行うことで、労基署の判断を知ることができます。また、審査請求手続きにおいて、提出書類の閲覧や写しの交付を求めることができます(労審法16条の3)。そのため、とりあえず、審査請求をしておくというのも選択の一つです(後で、意見書や資料を提出することができます。)。
※詳しくは、労災認定について労基署の判断を知る方法参照
審査請求手続きにおいて、原処分庁である労基署へ質問することもできます(口頭意見陳述、労審法13条の3)。
再審査請求
審査請求後3か月を経ても決定がないとき又は、労災保険審査官の決定に不服がある場合は、決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に労働保険審査会に再審査請求を行うことができます(労災保険法38条1項・2項、労審法38条1項)。
提出書類の閲覧・写しの送付を求めることができること、口頭意見陳述については、審査請求と同様です(労審法50条)。
取消訴訟
審査請求又は再審査請求後、3か月を経過しても決定又は裁決がない場合、労災保険審査官の決定又は、労働保険審査会の裁決に不服がある場合は、決定又は裁決の通知を受けた日の翌月から6か月以内に原処分の取消しを求める行政訴訟を提起することができます(労災保険法40条、行政事件訴訟法8条2項1号・14条3項)。
取消訴訟の被告は国です。管轄裁判所は、①東京地裁、②原処分庁の所在地を管轄する地裁、③原告の所在地を管轄する高裁所在地を管轄する地裁のいずれかです(行政事件訴訟法12条)。
従前は、再審査請求を経ないと、取消訴訟を提起できませんでした。法改正により、審査請求を経れば、取消訴訟を提起できるようになりました。