労災認定について労基署の判断を知る方法
労災請求したのに、労災と認定されませんでした。労災と認定されなかった理由を知ることはできますか?
労基署は不親切?
労災の相談でよくある場面です。交通事故の自賠責保険と違い、労災保険では、後遺障害の等級が認定されてもその理由が、決定通知書には記載されていません。
労災と認定されない不支給決定の場合も結論のみが記載されます。
したがって、決定通知書だけでは、労基署の判断が妥当かどうかが、わかりません。では、どうすればいいのでしょうか?
労基署に聞いてみる
一番、手っ取り早いのは、労基署の担当官に電話で聞くことです。おそらく、ごく簡単に理由を教えてくれると思います。ただし、詳細までは、教えてもらえません。したがって、審査請求を考えているのであれば、不十分です。
保有個人情報開示請求を行う
労働局に保有個人情報の開示請求を行います。それによって,たとえば,障害補償給付では,①事務官が作成した障害認定調査復命書,②労災医員が作成した障害の認定に関する意見書,③本人が書いた予診表や診断書等が開示されます。
個人情報の開示請求なので,労働者本人以外が作成した資料・本人以外の氏名や印影などは,開示されません。後遺障害の関係でいえば,障害認定調査復命書があれば,労基署の判断はわかります。
脳・心臓疾患や精神障害などで,そもそも,労災と認定されなかった場合は,大半の資料が黒塗りにされて,開示されず,必ずしも十分とはいえません。
とりあえず,審査請求をやってみる
個人的には,まずは,保有個人情報開示請求を先行すべきだと考えます。しかし,審査請求の期限が迫っている場合などは,とりあえず,審査請求をやってみるのも方法です。審査請求を行うにあたって,手数料などは不要だからです。
審査請求がなされると,労働保険審査官は,原処分庁である労基署に意見の提出を求めます。提出された意見書は,コピーを審査請求人に送ってもらえます。そう,この段階で,労基署の判断を知ることができます。
また,平成28年4月1日,労働保険審査官及び労働保険審査会法が改正されました。審査請求を行うと,労基署長から提出された一件記録の閲覧・謄写を求めることができるようになりました(同法16条の3第1項)。
審査請求を行うに当たって,意見書や証拠を後から提出することができます。そのため,とりあえず,審査請求をやって,記録を閲覧・謄写するということも可能です。