脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会の報告書が取りまとめられました。今後、労災認定基準が改定されることになります。
脳・心臓疾患の労災認定基準の改定
脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会の報告書が取りまとめられました。この報告書に基づき、脳・心臓疾患の労災認定基準が、改定されることになります。
現行認定基準を維持する
脳・心臓疾患の労災認定基準が改定されるといっても、全面的に改定されるわけではありません。
専門検討会の報告書でも、①業務による長期間にわたる疲労の蓄積と②発症に近接した時期の急性の負荷が、発症に影響を及ぼすとする現行基準は、妥当と結論付けています。
したがって、過労死基準と呼ばれることもある長時間の過重業務で考慮される時間外労働時間数に変更はありません。すなわち、①発症前1か月間に100時間又は②発症前2~6か月間平均で月80時間という基準は、維持されます。
認定基準の変更点
脳・心臓疾患の労災認定基準が改定されるのは、以下の点です。
対象疾病
脳・心臓疾患の労災認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」が追加されます。
長時間の過重業務
前述のとおり、時間外労働時間数に変更はありません。しかし、認定基準には達していないが、それに近い時間外労働を行い、かつ、一定の労働時間以外の負荷があった場合、業務と発症との関連が強いと評価することが明示されます。
労働時間以外の負荷要因
また、労働時間以外の負荷要因として、以下のような業務が、評価対象として追加されます。
労働時間以外の負荷要因として評価される業務
①勤務時間のインターバルが短い勤務
②身体的負荷を伴う業務
③休日のない連続勤務
④拘束時間の長い勤務
⑤不規則な勤務・交代制勤務
⑥深夜勤務
⑦出張の多い勤務
⑧心理的負荷を伴う業務
短期間の過重業務・異常な出来事
業務と発症との関連性が強いと判断できる場合が、明確化されます。たとえば、発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合などが例示されます。