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脳・心臓疾患の労災認定基準における長期間の過重業務


脳・心臓疾患の新しい労災認定基準の長期間の過重業務を取上げます。

長期間の過重業務

 脳・心臓疾患の労災認定基準は、業務による過重負荷の判断を①長期間の過重業務、②短期間の過重業務、③異常な出来事の3つの類型に分けて判断します。

 ①長期間の過重業務は、発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労した類型です。

基本的な考え方

 恒常的な長時間労働等の負荷が長期間にわたって作用した場合、疲労の蓄積が生じます。疲労の蓄積によって、血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ、その結果、脳・心臓疾患を発症させることがあります。

 したがって、業務の過重性を評価するに当たって、発症時における疲労の蓄積がどの程度であったかという観点で判断されます。

特に過重な業務

 認定基準は、疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に従事したことを要件としています。特に過重な業務とは、日常業務と比較して、特に過重な身体的・精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務を意味します。

 認定基準における日常業務とは、所定労働内の所定業務内容とされています。

評価期間

 長期間の過重業務の評価期間は、発症前のおおむね6か月間とされています。それより前の業務については、疲労の蓄積に係る業務の過重性を評価する際の付加的要因として考慮されます。

過重負荷の有無の判断の基本

 業務量・業務内容・作業環境等を考慮し、同種労働者にとっても、特に過重な身体的・精神的負荷と認められる業務であるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断されます。

 ここでいう同種労働者とは,発症した労働者と職種・職場における立場や職責・年齢・経験等が類似する労働者のことです。なお,基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できる労働者も含まれます。

短期間の過重業務の考慮

 脳・心臓疾患は、疲労の蓄積に加え、発症に近接した時期の業務による急性の負荷とあいまって発症する場合が考えられます。

 したがって、発症に近接した時期に一定の負荷要因が認められる場合には、それらの負荷要因も過重性の判断に際し考慮されます。つまり、短期間の過重業務が、長期間の過重業務においても過重性の判断に際して、考慮されることがあります。

過重性の判断の具体的な負荷要因

 認定基準は、以下の負荷要因を挙げ、十分に検討するよう求めています。

(1)労働時間

 認定基準は、労働時間を疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と位置付けています。その上で、以下の場合は、業務と発症との関連性が強いと評価されます。

業務と発症の関連性が強いと評価される場合

①発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働を行った。

②発症前2か月間ないし6か月間にわたり、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働を行った。

 一方、発症前1か月ないし6か月間にわたり、1か月当たりおおむね 45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性は低いと評価されます。

 脳・心臓疾患の労災認定基準でいう時間外労働とは、1週間当たり40時間超の時間外労働のことです。

(2)勤務時間の不規則性

 ここでは、①拘束時間の長い業務、②休日のない連続勤務、③勤務間インターバルが短い勤務、④不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務について、ポイントが挙げられています。。

(3) 事業場外における移動を伴う業務

 ここでは、①出張の多い業務と②その他事業場外における移動を伴う業務について、ポイントが挙げられています。

(4) 心理的負荷を伴う業務

 心理的負荷表に基づいて評価されます。

(5) 身体的負荷を伴う業務

 重量物の運搬作業・人力での掘削作業などの身体的負荷が大きい作業の種類、作業強度、作業量、作業時間、歩行や立位を伴う状況等や当該業務が日常業務と質的に著しく異なる場合にはその程度を踏まえて評価されます。

(6)作業環境

 温度環境と騒音については、長期間の過重業務の過重性の判断においては、付加的に評価されます。


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