仕事中にケガをしたけど、労災だと会社に言うとクビになるのでは?などと不安に思ってる方はいませんか?労災を使ってもクビにはなることはありません。
労災を使うとクビになる?

この前のケガ、労災だと思うんだけど…
労災だって会社に言うと、クビになったりしないかな?

労災の請求をしたことを理由に、クビにはできないよ。
労災の請求をしたら、会社からの嫌がらせで解雇させられるのでは?と思い、労災の請求を躊躇される方がいらっしゃいます。
結論から言うと、会社が、労災の請求をしたことを理由に、労働者を解雇することはできません。
解雇するには、合理的理由と社会的相当性が必要
会社が労働者をクビにする解雇には、様々な規制が設けられています。
法律によって、一定の理由による解雇が禁止されています。①差別的な解雇の禁止や②法律上の権利行使を理由とした解雇の禁止です。
①は、国籍・信条・社会的身分を理由とした解雇、性別を理由とした解雇の禁止などです。②は、育休の取得を理由とした解雇などです。
②に、労災保険の請求を理由とした解雇は規定されていません。しかし、解雇は、(1)客観的に合理的な理由があり、(2)社会的に相当性がない限り、権利濫用として無効となります。
労災保険の請求をしたことは、(1)の客観的に合理的な理由とは、認められません。したがって、労災保険の請求をしたことを理由に、労働者を解雇することはできません。
労災による休職が長引いた場合は?
仕事中のケガを理由とする休職が長引いて、休職期間が満了してしまうことがあります。一般に、休職期間が満了した時点で、労働者が、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復しなければ、解雇が認められます。
しかし、労災の業務災害で休職中の場合は、解雇制限があります。「労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業している期間とその後30日間」は、会社は労働者を解雇することはできません。
したがって、仕事中のケガを理由とする休職が長引いても、治療中は、解雇されることはありません。

労働者に過失のある労災の場合も解雇制限は適用されます。

解雇制限の詳細は、以下の「労災と解雇制限」を参照
不当解雇や不利益処分を受けた場合
労災の請求をしたことを理由とする解雇は認められていません。しかしながら、会社によっては、不当解雇や降格・配置転換などの不利益処分をしてくるかもしれません。そんなときは、どうすればいいのでしょうか?以下、解雇の場合に、労働者がやっておくべきことをまとめておきます。
証拠を保存する
解雇の場合、いきなり会社から解雇通告が届くことは少ないと思います。その前に、会社と何らかの話合いや交渉があるのが通常です。
会社との話合いや交渉の録音や、会社からの書面・メール・LINEなどを保存しておくことが重要です。
退職届にサインしない
退職届に安易にサインしないことが大事です。これは、退職を前提とした行動をとらないということです。

離職票の受領、健康保険証の返還、退職金の受領などがあっても解雇の効力を争えないわけではありません。
解雇理由証明書をもらう
退職した労働者は、会社に対して、退職証明書の発行を請求できます。退職証明書には、解雇理由を具体的に記載する必要があります。そのため、解雇の場合は、解雇理由証明書と呼んでいます。
不当解雇を争う場合、解雇理由証明書によって、解雇の種類・理由を明らかにするのが出発点となります。
労災の請求に不安を感じている方へ
労災の請求をしたことを理由に、労働者を解雇することはできません。それでも、不安だと感じている方もいらっしゃるかと思います。
労災の問題で、不安を感じている方は、専門家である弁護士にご相談ください。専門家である弁護士のサポートを受けることで、不安が解消され、冷静に対応できるようになります。

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