労災事故の中で件数の多い製造業における転倒事故を取上げます。
工場内で転倒した…

この前、工場で部品を運んでたときにつまずいて転んじゃって💦
でも、ちょっとした不注意だし、労災ってほどでもないかなって思って…

いやいや、転倒も立派な労働災害なんだ。仕事中の事故なら、労災の対象になるんだよ。

えっ、ほんと? 自分のミスでも…?

たとえ、自分の不注意でも、仕事にケガしたなら、労災保険の補償が受けられるんだ。
製造業の転倒事故は労災事故の典型
厚労省が公表している「労働災害発生状況」によると、令和6年の労災事故の死傷者数が最も多かったのは、製造業の26,676人でした。
製造業における転倒事故の死傷者数は、5,656人でした。製造業における転倒事故は、労災事故の典型的な事故といえます。
転倒事故の典型例
製造業における転倒事故の例
①部品を運搬中に足を滑らせた
②床の油で滑った
③作業中の段差でつまずいた
労働者に不注意があっても労災保険の給付を受けれる
労災の認定に労働者の過失、つまり、不注意は関係ありません。つまり、労働者の不注意で労災事故が発生しても、労災保険の給付を受けることができます。
たとえば、労働者がよそ見をしていて段差につまづいて転倒した場合も労災になり、労災保険の給付を受けられます。

労働者の過失が問題になるのは、会社への損害賠償請求の場面です。
どんなケガが対象?
労災保険の給付を受けるには、療養、つまり、治療が必要なケガをしたことが必要です。転倒事故の場合は、以下のようなケガが労災の対象です。
転倒事故で労災の対象となるケガ
骨折
打撲
捻挫
むち打ち
軽傷だからと放置すると、悪化するケースもあります。時間が経ってから病院を受診すると、事故と受傷の因果関係を否定されるケースもあります。
労災保険の請求と注意点
労災事故の発生を会社に報告し、会社を通じて労災保険の請求をするのが一般的です。
会社が労災保険の請求に協力しない
会社によっては、様々な理由で、労災保険の請求に協力しないことがあります。
労災保険の請求は、会社を通じて行うことが多いです。しかし、これは会社が手続を代行してるにすぎません。労災保険の請求は労働者が自ら行うものです。
したがって、会社が労災保険の請求に協力しない場合は、直接、労基署に請求します。会社が労災保険の請求に協力しない場合は、弁護士に相談するのをお勧めします。

以下の「会社が労災の手続きをしてくれない」も参照
会社が労災の手続きをしてくれない
労災事故が発生したのにもかかわらず、会社が労災の申請をしてくれないことがあります。会社が労災の申請をしない場合、労働者はどうすればいいのか?を解説します。
会社が労災保険の請求に協力しない場合は、以下のような事実を記録、証拠を残しておくといいでしょう。
記録しておくべき事項
①日時、場所、作業内容
②転倒の原因
③同僚等の目撃者の証言
転倒事故で後遺症が残ったら?
転倒事故で骨折やむち打ちになった場合、後遺症が残る場合があります。後遺症が労災保険の後遺障害に該当すれば、後遺障害等級に応じて、障害補償給付を受けることができます。
後遺障害認定のポイント
後遺障害の認定は、MRI、CTといった画像所見があるかがポイントです。
むち打ちの場合は、画像所見がないケースがほとんどです。むち打ちの場合は、治療経過が重要になります。
工場内で転倒事故に遭われた方へ
製造業における転倒事故は、労災事故の典型です。自分の不注意だから労災にならないのではないか?会社が労災保険の請求をしてくれないなど、労災事故でお悩みの方は、法律事務所エソラへご相談ください。労災の初回相談は無料です。

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