厚労省から平成30年度の「精神障害の労災補償状況」が公表されています。その概要を紹介します。
平成30年年度 精神障害の労災補償状況
平成30年度は、1,820件の請求件数に対し、1,461件について決定がなされました。労災と認定されたのは465件で、認定率は31.8%でした。
その内、過労自殺は、200件の請求件数に対し、199件で決定がなされました。労災と認定されたのは76件で、認定率は38.2%でした。
なお、精神障害の労災の請求件数は、平成29年度より88件増加しています。
業種別の請求件数
業種別で最も請求件数が多かったのは、医療・福祉の社会保険・社会福祉・介護事業の192件(内6件が過労自殺)でした。
以下、請求件数の多い順は、次のとおりとなっています。
医療・福祉の医療業:127件
運輸業・郵便業の道路貨物運送業:89件
建設業の総合工事業:68件
情報通信業の情報サービス業:65件
宿泊業・飲食サービス業の飲食店:58件
サービス業のその他の事業サービス業:56件
製造業の輸送用機械器具製造業:54件
卸売業・小売業のその他の小売業:52件
業種別の認定件数
業種別で最も労災と認定された件数が多かったのは、運輸業・郵便業の道路貨物運送業で37件(内5件が過労自殺)でした。
医療・福祉の医療業、社会保険・社会福祉・介護事業の35件、建設業の総合工事業の23件、宿泊業・飲食サービス業の飲食店の20件と続きます。
職種別の認定件数
精神障害が労災と認定された職種で最も多いのは、事務従事者の一般事務従事者で41件(内9件が過労自殺)でした。
以下は、次のとおりです。
販売従事者の営業職従事者:38件
輸送・機械運転従事者の自動車運転従事者:35件
管理的職業従事者の法人・団体管理職員:32件
専門的・技術的職業従事者の建築・土木・測量技術者:23件
販売従事者の商品販売従事者:23件
専門的・技術的職業従事者の保健師・助産師・看護師:22件
サービス職業従事者の介護サービス職業従事者:20件
年齢別の認定件数
精神障害の労災認定件数を年齢別でみると、40代の145件が最も多く、次いで30代の122件、50代の81件と続きます。
時間外労働時間別の認定件数
1か月平均の時間外労働時間でみると、20時間未満の82件が最も多く、長時間労働以外の心理的負荷が原因で、精神障害が労災と認定されていることがわかります。
100時間以上120時間未満の61件が次に多く、長時間労働による精神障害は、労災と認められやすいと言えるでしょう。
また、心理的負荷が極度と認められる等、労働時間を調査するまでもなく明らかに労災と認定した件数が112件ありました。
精神障害の出来事別の認定件数
精神障害が労災と認定された中で、最も多く認定された出来事の類型は、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」と「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の69件でした。
次いで、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」の56件、特別な出来事の55件、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」の45件と続きます。