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精神障害の労災認定における心理的負荷の評価-感染症等の危険性が高い業務に従事-


2023年9月1日に精神障害の労災認定基準が改正されました。新基準は、心理的負荷表の具体的出来事に、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」ことが追加されました。

感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事

 精神障害の労災認定基準が改正され、出来事の類型③仕事の量・質に、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」ことが、心理的負荷表の具体的出来事として追加されました。

 感染等の危険性が高い業務に従事すること、従事し続けることへの不安感、緊張感、防護対策を含む業務の困難性等を評価します。

 感染等の危険性が高い業務に従事したことにより、自分や同僚が、業務上、感染症等に感染した場合は、「業務により重度の病気やケガをした」や「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験・目撃をした」の項目でも評価されます。

精神障害の労災認定における心理的負荷の評価①事故や災害の体験

精神障害の労災認定基準の心理的負荷表の具体的出来事の内、「事故や災害の体験」を解説します。

 なお、業務に起因して感染症等に感染した場合は、業務上疾病として労災と認定されます。

心理的負荷の強度

 精神障害の労災認定基準では、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」ことの平均的な心理的負荷の強度は、Ⅱとなっています。

心理的負荷の総合評価の視点

 「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」ことの心理的負荷を評価する視点として、以下の点を挙げています。

感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事したことの心理的負荷の総合評価の視点

①業務内容・困難性、能力・経験と業務内容のギャップ、職場の支援・協力内容の有無・内容等

②当該業務に従事する経緯、その予測の度合、当該業務の継続期間等

 ①の業務内容・困難性には、ばく露のおそれがる病原体・化学物質等の有害因子の性質・危険性等を含みます。また、職場の支援・協力内容には、教育訓練の状況、防護・災害防止対策の状況等を含みます。

心理的負荷の強度が「強」になる例

 認定基準は、心理的負荷の強度が「強」になる具体例として、以下の出来事を挙げています。

感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事したことの心理的負荷の負荷の強度が「強」となる例

新興感染症の感染の危険性が高い業務等に急遽従事することとなり、防護対策も試行錯誤しながら実施する中で、施設内における感染等の被害拡大も生じ、死の恐怖等を感じつつ業務を継続した場合

 認定基準は、「死の恐怖」を感じるほどの感染症でなければ、心理的負荷の強度は「強」にならないと考えているようです。

心理的負荷の強度が「中」になる例

 認定基準は、心理的負荷の強度が「中」となる具体例として、以下の出来事を挙げています。

感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事したことの心理的負荷の負荷の強度が「中」となる例

感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事し、防護等対策も一定の負担を伴うものであったが、確立した対策を実施すること等により職員のリスクは低減されていた。

心理的負荷の強度が「弱」になる例

 認定基準は、心理的負荷の強度が「弱」となる具体例として、以下の出来事を挙げています。

感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事したことの心理的負荷の負荷の強度が「弱」となる例

(1)重篤ではない感染症等の病気や事故の危険性がある業務に従事した。

(2)感染症等の病気や事故の危険性がある業務ではあるが、防護等の対策の負担は大きいものではなかった。


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