心不全が過労死として、労災と認定されることがありますか?
脳・心臓疾患の労災認定基準の改定
令和3年9月に改定された脳・心臓疾患の労災認定基準で、「重篤な心不全」が対象疾病に追加されました。脳・心臓疾患の労災認定基準における心不全の取扱い取上げます。
心不全
心不全とは、何らかの心臓機能障害が生じて心ポンプ機能の心臓から十分な血液を送り出す代償機能が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、運動耐容能が低下した状態のことです。
心不全自体は、病名ではありません。ただし、「急性・慢性心不全診療ガイドライン」の定義を満たす状態であるものは、脳・心臓疾患の労災認定基準の対象疾病として扱われます。
重篤な心不全
令和3年9月に改定された脳・心臓疾患の労災認定基準の対象疾病に、「重篤な心不全」が追加されました。
脳・心臓疾患の労災認定は、基礎疾患の自然経過によるものではなく、業務による明らかな過重負荷によって基礎疾患がその自然経過を超えて著しく増悪したものと判断できる必要があります。
そのため、入院による治療、つまり、積極的な治療を必要とする急性心不全を念頭に、対象疾病が「重篤な心不全」と限定されました。心不全の程度が軽ければ軽いほど、基礎疾患の自然経過によって生じたものと区別することが困難であるということを前提としています。
心不全が労災と認定される場合
心不全が労災と認定されるには、その基礎となる疾患及び心不全の程度についても併せて確認し、治療内容や予後等も含め病状の全体像をみて、業務による負荷及び基礎疾患の状況と心不全の発症との関係を判断する必要があります。
そして、基礎疾患がその自然経過を超えて著しく増悪したものと認められる場合に労災保険給付の対象となります。