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長期間の過重業務(脳・心臓疾患の労災認定基準)


脳・心臓疾患の労災認定基準の「長期間の過重業務」を取上げます。

脳・心臓疾患の労災認定基準

 脳・心臓疾患の労災認定基準における業務による過重負荷の判断基準を類型ごとに説明してきました(異常な出来事短期間の過重な業務)。脳・心臓疾患の労災認定の中心になると考えられる長期間の過重業務の概略を説明します。

労災の基本的な考え方

 睡眠時間と疲労の回復がポイントです。脳・心臓疾患の労災認定基準の作成に際し、有識者による専門検討会が開催されています。専門検討会で、脳・心臓疾患を引き起こす疲労の蓄積の原因として睡眠不足が深く関わっていると指摘されています。

 少なくとも1日4時間~6時間の睡眠時間が確保できない状態が続くと、脳・心臓疾患になるリスクが高くなるとされています。そのため、1日4時間~6時間の睡眠時間が確保されているか?という視点で検討することが妥当であると指摘しています。

長期間の過重業務

 長期間の過重業務のポイントは、次のとおりです。

疲労の蓄積

 恒常的な長時間労働等の負荷が長期間にわたって作用した場合、疲労の蓄積が生じます。疲労の蓄積が血管病変等を自然の経過を超えて著しく憎悪させ、脳・心臓疾患を発症させることがあります。

 発症との関連性において、業務の過重性を評価するに当たっては、発症前の一定期間の就労実態等を考察し、発症時における疲労の蓄積がどの程度あったか?という観点から判断するとされています。

評価期間

 長期間の過重業務については、発症前おおむね6か月間の業務について過重性を判断します。6か月前の業務については、疲労の蓄積に関する業務の過重性を評価するに当たって、付加的要因として考慮するとされています。

過重負荷の有無の判断

 著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるかは、業務量・業務内容・作業環境等を考慮し、同僚等にとっても特に過重な身体的、精神的負荷と認められるかどうかという観点から、客観的かつ総合的に判断されます。

 特に過重な業務の意味や、労働時間以外の負荷要因については、短期間の過重な業務と同様ですので、そちらの記事に譲ります。

長時間労働

 業務の過重性を判断する一番のポイントは、労働時間です。具体的な労働時間については、脳・心臓疾患(過労死)に記載していますが、そのイメージは次のとおりです。

長時間労働による脳・心臓疾患の労災認定のイメージ

①1日約5時間の時間外労働が継続し、発症前1か月間に100時間を超える時間外労働が認められる状態が継続

②1日約4時間の時間外労働が継続し、発症前2か月間~6か月間にわたって、1か月当たり80時間を超える時間外労働が認められる状態が継続

 上記①と②の場合は、業務と発症との関連性が強いと判断されます。

 ③1日の時間外労働が約2時間で、発症前1か月から6か月にわたって、1か月当たり45時間を超える時間外労働が認められない状態が続くと、その日の疲労が睡眠で回復し、疲労の蓄積はなく、発症との関連性は弱いと判断されます。

 休日のない連続勤務が長く続くほど業務と発症との関連性をより強めます。休日が十分確保されていると、疲労の回復又は回復傾向を示すと評価されます。

新基準

 脳・心臓疾患の労災認定基準は、令和3年9月15日から改定され、新基準になりました(脳・心臓疾患の新労災認定基準)。新基準における「長期間の過重業務」については、脳・心臓疾患の労災認定基準における長期間の過重業務をご参照ください。


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