厚労省から令和5年度の脳・心臓疾患の労災補償状況が公表されています。その概要を紹介します。
令和5年度の脳・心臓疾患の労災補償状況
令和5年度の脳・心臓疾患の労災の請求件数は、1,023件でした。令和4年の803件から200件ほど増加しています。労災かどうか?の決定が行われたのは667件で、214件が労災と認定されました。脳・心臓疾患の労災認定率は32.1%となっています。
その内、過労死の請求件数は、247件でした。令和4年の218件から増加しています。労災かどうか?の決定が行われたのは187件で、56件が労災と認定されました。過労死の労災認定率は29.9%となっています。
業種別の労災請求件数
脳・心臓疾患の労災請求権の多い業種の上位5つは、以下のとおりです。
①道路貨物運送業:171件(内、過労死38件)
②その他事業サービス業:93件(内、過労死31件)
③総合工事業:58件(内、過労死14件)
④飲食店:53件(内、過労死9件)
⑤社会保険・社会福祉・介護事業:51件(内、過労死15件)
業種別の労災認定件数
脳・心臓疾患で、労災と認定された件数の多かった業種の上位5つは、以下のとおりです。
①道路貨物運送業:66件(内、過労死16件)
②飲食店:18件(内、過労死2件)
③その他の事業サービス業:12件(内、過労死3件)
④総合工事業:11件(内、過労死4件)
⑤設備工事業:8件(内、過労死4件)
なお、請求件数5位の社会保険・社会福祉・介護事業は、6件(内、過労死1件)で8位でした。
職種別の労災認定件数
脳・心臓疾患の労災と認定された件数の多い職種の上位5つは、以下のとおりです。
①自動車運転従事者:64件(内、過労死16件)
②飲食物調理従事者:15件(内、過労死2件)
③商品販売従事者:12件(内、過労死3件)
③運搬従事者:12件(内、過労死6件)
⑤法人・団体職員:10件(内、過労死2件)
年齢別の労災認定件数
脳・心臓疾患の労災認定件数を年齢別に見ると、50代の271件(内、過労死67件)が最多です。次に、60代の229件(内、過労死66件)、40代の131件(内、過労死43件)と続きます。
30代は29件(内、過労死10件)で、20代は7件(内、過労死1件)で、10代は0件でした。
時間外労働時間数別の労災認定件数
脳・心臓疾患で、労災と認定された人を1か月又は2~6か月における1か月平均の時間外労働時間別にみると、上位は、以下のとおりです。
①80時間以上100時間未満:59件(内、過労死14件)
②100時間以上120時間未満:45件(内、過労死12件)
③60時間以上80時間未満:41件(内、過労死11件)
④120時間以上140時間未満:18件(内、過労死2件)
⑤140時間以上160時間未満:16件(内、過労死5件)
脳・心臓疾患の労災認定基準が改定されたからなのか、45時間以上60時間未満で2件(内、過労死1件)が労災と認定されています。