労災事故の典型である建設現場でのはさまれ・巻き込まれ事故を取上げます。
鉄骨に挟まれた…

建設現場で、ちょっとした油断で鉄骨に挟まれた人がいたって聞いて…怖くなっちゃって…

建設現場では、重機とか鉄骨とか、動くものと人が近いから、はさまれ・巻き込まれ事故は少なくないんだよ。
建設現場でも多いはさまれ・巻き込まれ事故
はさまれ・巻き込まれ事故は、工場や建設現場などで作業中に、重機や機械の可動部に衣服・手足・身体が巻き込まれる事故です。
厚労省が公表した「令和6年度の労働災害の発生状況の分析等の概要」によると、建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故の死傷者数は、1,563人でした。製造業、陸上貨物運送業と並び、建設業でも発生件数の多い事故類型です。
建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故の例
①重機と構造物の間に挟まれる
②クレーン・搬送資材への巻き込まれ
③型枠や鉄骨・資材が倒れて下敷き
製造業におけるはさまれ・巻き込まれ事故との違い
建設業と製造業におけるはさまれ・巻き込まれ事故には、以下のような違いがあります。
製造業 | 建設業 |
固定された機械(プレス・ベルト)との接触 | 重機・資材・建物構造物との接触 |
単一作業ライン | 多業者・複数工程 |
工場内での局所リスク | 屋外現場での周囲リスク+環境変化 |
建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故の労災認定
労災と認定されるには、①業務遂行性があることを前提に、②業務起因性があることが必要です。
労働者が業務に従事していれば、業務遂行性が認められます。業務起因性は、業務に内在する危険が現実化したという要件です。
建設現場での作業中に発生したはさまれ・巻き込まれ事故は、業務遂行性・業務起因性ともに認められます。
よくある誤解と注意点
建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に関するよくある誤解をまとめました。
自分の不注意だから労災にならない
労働者の不注意で、はさまれ・巻き込まれ事故が発生しても、労災と認定されます。
協力会社・下請会社だから関係ない
建築現場では、元請会社、下請会社など様々な立場の会社や人が協力して作業を行っています。その関係で、労災保険の仕組みが通常と異なります。
建築現場では、工事全体を一つの事業体とみなし、元請会社が労災保険に加入します。下請会社や協力会社の従業員は、元請会社の労災保険が適用されます。
軽傷だから労災請求しない
軽傷だからといって、労災保険の請求をしないケースがあります。しかし、そもそも、労災の適用がある場合は、健康保険を利用できません。労災事故の場合は、ケガの程度にかかわらず、労災保険を使う必要があります。
会社が認めないと労災保険の請求できない
建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故が発生したにもかかわらず、会社が労災と認めず、労災保険の請求手続きをしてくれない場合があります。
労災保険の請求をするのは、労働者自身です。会社が労災保険の請求手続きをしてくれない場合は、労基署に労災保険の請求をしましょう。その際、弁護士に相談するのをお勧めします。
建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に遭った際のチェックリスト
建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に遭った際のチェックリストです。参考にしてみてください。
チェック項目 | 確認ポイント |
□作業中のはさまれ・巻き込まれ事故 | 日時、場所、作業内容、事故状況を記録 |
□医師の診断書の入手 | 労災の指定病院の場合は不要 |
□会社・元請会社に報告 | 会社が労災保険の請求をしてくれるか確認 |
□労災保険の請求に必要な資料・書類の入手 | 労基署や弁護士に相談し確認 |
□労災保険の請求 | 会社が労災保険の請求をしてくれない場合は自分でする |
□弁護士に相談 | 特に会社が労災保険の請求をしてくれない場合は弁護士に相談するのをおすすめ |
建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に遭った方へ
建設業におけるはさまれ・巻き込まれ事故は、労災事故の典型です。はさまれ・巻き込まれ事故は重症化しやすい事故類型です。まずは、会社に報告し、病院で治療を受けましょう。そして、日時・場所・作業内容といった事故状況を整理し、労災保険の請求をしましょう。
会社が労災保険の請求の手続きに協力的でない場合は、一人で悩まず、弁護士に相談することで、労災保険の補償を受けられる可能性が広がります。法律事務所エソラは、労災の初回相談は無料です。

無料相談はこちら
労災の無料相談はこちらからお申込みください。