脳・心臓疾患の新しい労災認定基準の異常な出来事を取上げます。
異常な出来事
脳・心臓疾患の労災認定基準は、業務による過重負荷の判断を①長期間の過重業務、②短期間の過重業務、③異常な出来事の3つの類型に分けて判断することになっています。
③異常な出来事は、発症直前から前日までの間に、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇した類型です。
異常な出来事の基本的な考え方
脳・心臓疾患の労災認定基準は、以下の急激な血圧変動や血管収縮等を引き起こすことが、医学的にみて妥当と認められる出来事を異常な出来事としています。
異常な出来事
①極度の緊張・興奮・恐怖・驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす事態:精神的負荷
②急激で著しい身体的負荷を強いられる事態:身体的負荷
③急激で著しい作業環境の変化:作業環境
評価期間
異常な出来事の評価期間は、発症直前から前日までの間です。これは、負荷を受けてから24時間以内に、症状が出現するという考えによるものです。
過重負荷の有無の判断
異常な出来事に遭遇したと認められるか?は、以下の事情を考慮して、身体的・精神的負荷が著しいと認められるか?という観点から客観的かつ総合的に判断されます。
異常な出来事の過重負荷の有無の判断に当たって考慮される事情
①出来事の異常性・突発性の程度
②予測の困難性
③事故や災害の場合にはその大きさ、被害・加害の程度、緊張、興奮、恐怖・驚がく等の精神的負荷の程度
④作業強度等の身体的負荷の程度
⑤気温の上昇又は低下等の作業環境の変化の程度等
業務と発症との関連性が強いと評価できる場合
脳・心臓疾患の労災認定基準は、以下の出来事を、業務と発症との関連性が強いと評価できるとして挙げています。
業務と発症との関連性が強いと評価できる出来事
①業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合
②事故の発生に伴って著しい身体的・精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合
③生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合
④著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練、走行等を行った場合
⑤著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業、温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合