MOCAにさらされる業務による尿路系腫瘍の労災認定を取上げます。
MOCAにさらされる業務による尿路系腫瘍
MOCAにさらされる作業環境下において業務に従事することにより発生する尿路系腫瘍は、業務上疾病として例示列挙されています(労基法施行規則別表1の2第7号の11)。
MOCA
MOCAは、3,3’-ジクロロ-4,4‘-ジアミノジフェニルメタンのことです。
芳香族アミンの一種で、第2類物質及び特別管理物質に該当する特定化学物質として、特定化学物質障害予防規則に規定されています。
MOCAを取り扱う業務
MOCAを取り扱う業務として、防水用のウレタン樹脂硬化剤の製造業務が挙げられています。
尿路系腫瘍
尿路系腫瘍とは、 腎臓・尿管・膀胱・尿道に原発した腫瘍のことです。
MOCAにさらされる業務による尿路系腫瘍の労災認定
MOCAを取り扱う業務に5年以上従事した労働者に発症した膀胱がんで、ばく露開始から膀胱がん発症までの潜伏期間が10年以上認められるものは、業務が相対的に有力な原因となって発症した蓋然性が高いとされます。
MOCAを取り扱う業務に従事した期間が5年未満の場合やばく露開始から膀胱がんの発症までの期間が10年未満の場合は、以下を総合的に勘案して、業務と膀胱がんとの関連性が検討されます。
①作業内容、②ばく露状況、③発症時の年齢、④既往症の有無、⑤喫煙の有無
なお、労災認定に当たっては、「芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体による疾病の認定基準について」に基づき、厚労省にりん伺することになっています。
消滅時効について
MOCAを取り扱う業務による膀胱がんの労災保険の消滅時効は、芳香族アミン取扱事業場で発生した膀胱がんの業務上外に関する検討会の報告書が公表された令和2年12月22日までは進行しないという扱いです。
したがって、消滅時効は、令和2年12月23日から進行します。