労災事故で後遺症が残ると、将来が不安になります。労災保険では、後遺障害の程度に応じた給付が受けられます。
- 1. 後遺症が残った…
- 2. 後遺障害が残ったときに受けれる労災保険
- 2.1. ①障害補償給付
- 2.1.1. 障害補償年金
- 2.1.2. 障害補償一時金
- 2.1.3. 特別支給金
- 2.2. ②介護補償給付
- 3. 後遺障害等級について
- 3.1. 疼痛の場合の説明
- 3.2. 12級と14級の違いは程度の差ではない
- 4. 後遺障害の等級認定の流れ
- 4.1.1. 症状固定
- 4.1.2. 診断書の作成
- 4.1.3. 労基署に障害補償給付の請求
- 4.1.4. 予診票の作成
- 4.1.5. 労基署での面談
- 4.1.6. 障害補償給付の支給・不支給決定
- 5. 仕事や生活への影響
- 6. 労災事故で後遺症が残った方へ
後遺症が残った…

労災事故で骨折して、骨がきれいにくっつかなかったみたいで…痛みと痺れがあるんだけど、これからの生活、大丈夫かな?

心配になるよね。労災保険には、後遺障害を補償する制度があるよ。
労災事故でケガをして治療を続けても症状が残ったまま。症状固定だと言われたけど、まだ、症状が残っている。そんなときは、労基署に障害補償給付の請求をしましょう。後遺障害の程度に応じた給付を受けることができます。
後遺障害が残ったときに受けれる労災保険
労災事故でケガをした後、後遺障害が残った場合、①障害補償給付と②介護補償給付を受けれる可能性があります。

一般的には「後遺症」といいますが、「後遺症」と後遺障害は異なります。
詳しくは、以下の「労災の後遺障害の認定」を参照
①障害補償給付
労災保険は、後遺障害を1級から14級の等級に分類しています。1級が最も重く、14級が最も軽い等級です。
障害補償年金
7級以上は、障害補償年金が支給されます。年金なので、毎年支給されます。
障害等級 | 給付基礎日額の日数 |
1級 | 313日 |
2級 | 277日 |
3級 | 245日 |
4級 | 213日 |
5級 | 184日 |
6級 | 156日 |
7級 | 131日 |
障害補償一時金
8級以下は、障害補償一時金が支給されます。一時金なので、支給は1回限りです。
障害等級 | 給付基礎日額の日数 |
8級 | 503日 |
9級 | 391日 |
10級 | 302日 |
11級 | 223日 |
12級 | 156日 |
13級 | 101日 |
14級 | 56日 |
特別支給金
障害補償年金又は障害補償一時金の他に、後遺障害等級に応じた特別支給金が支給されます。
休業補償給付の支給で考慮されない賞与(ボーナス)は、障害特別年金又は障害特別一時金で考慮されます。

障害補償給付の詳細は、以下の記事参照
②介護補償給付
後遺障害が、常時又は随時介護が必要な後遺障害等級1級又は2級の場合、介護補償給付を受給することができます。

詳しくは、以下の「介護(補償)給付」を参照
後遺障害等級について
後遺障害等級について、局部の神経症状の12級の12と14級の9を説明します。たとえば、骨折後、骨がきれいにくっつかずに、痛み・痺れが残った場合、後遺障害等級12級又は14級の可能性があります。
それぞれ、障害の程度は、以下のとおりです。
局部の神経症状
12級の12:局部にがん固な神経症状を残すもの
14級の9:局部に神経症状を残すもの
疼痛の場合の説明
局部の神経症状の12級と14級について、疼痛の場合、以下のように、説明されています。
疼痛の場合の局部の神経症状
12級の12:通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの
14級の9:通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの
12級と14級の違いは程度の差ではない
上記の説明からすると、局部の神経症状の12級と14級の違いは、症状の程度の差のように思われます。しかし、実際は、他覚所見の有無による違いです。他覚所見の代表は、画像所見です。
骨折後の痛みや痺れが後遺障害となる場合、骨が変形してくっついていることが画像上、明らかな場合は、12級の12が認定されます。画像上、明らかでない場合は14級の9が認定されます。
後遺障害の等級認定の流れ
症状固定
労災保険での治療は終了します。
診断書の作成
主治医に労基署に提出する診断書の作成を依頼し、診断書を作成してもらいます。
労基署に障害補償給付の請求
必要な資料を添付し、労基署に障害補償給付の請求をします。
予診票の作成
労基署から予診票が送付されます。予診票に必要な事項を記入します。
労基署での面談
労基署で労基署の職員・労災医員と面談が行われます。
障害補償給付の支給・不支給決定
労基署から障害補償給付の支給又は不支給決定が通知されます。
仕事や生活への影響
労災事故のケガで後遺障害が残った場合、仕事や生活に大きく影響します。
まず、職場に復帰できるかどうか?という問題です。復帰するとして、元の部署なのか?配置転換されるのか?配置転換を希望できるのか?も問題です。

詳細は、以下の「労災で休業中に休業期間が満了」を参照
労災で休業中に休業期間が満了-解雇?復職?復職の判断は?-
労災で休業中に休職期間が満了した場合、解雇されるのでしょうか?復職する場合、復職の判断は誰がするのでしょうか?
また、仕事だけでなく、生活にも大きな支障が生じます。
労災保険では、後遺障害に対する補償として、障害補償給付が支給されます。障害補償給付だけでは、十分な補償とはいえません。
労災事故の発生に会社に安全配慮義務違反がある場合は、会社に損害賠償請求できます。後遺障害が残った場合、会社への損害賠償請求を検討してみてください。
労災事故で後遺症が残った方へ
労災事故で後遺症が残った場合、まずは、労災保険の障害補償給付で適切な後遺障害等級を獲得することが大事です。そして、会社への損害賠償請求が視野に入ってきます。
労災の後遺障害でお悩みの方は、法律事務所エソラにご相談ください。初回相談は無料です。

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