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労災隠しの話し


会社の労災隠しを取上げます。

労働災害が発生した場合の事業者の義務

 労災事故が発生した場合、事業者は遅滞なくそのことを労働基準監督署に報告する義務を負っています(安衛法100条1項、同規則97条)。具体的には、労働者死傷病報告を労基署に提出しなければなりません。

労災隠しとは?

 ①故意に労働者死傷病報告を提出しないことや②虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を提出することを労災隠しと呼んでいます。

 労災隠しは、安衛法100条1項に違反し、安衛法120条5項に該当する犯罪です。50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

 厚労省のHPによると、平成19年に労災隠しで検察庁に送致された事件は140件に及びます。また、東京労働局のHPによると、東京労働局管内で毎年5~10件前後、労災隠しにより検察庁に送致されています。

なぜ、事業者は労災隠しをするのか?

 刑事罰が科せられる可能性があるにもかかわらず、なぜ、事業者は労災隠しを行うのでしょうか?

 一番大きな理由は、労基法・安衛法違反や刑法の業務上過失致死傷罪などの刑罰を科される可能性を排除したいためでしょう。また、労災保険料が増額される可能性があることも理由の一つとして考えられます。

 さらに、労働災害の発生について使用者に過失があれば、被災労働者は使用者に対して損害賠償請求することができます。労災隠しによって、責任をうやむやにしようという意図もあるでしょう。

労災隠しにあっても、労働者は労災請求できる

 労災保険の請求者は、労働者であって事業者ではありません。会社が労災の手続きをしてくれないでも触れましたが、会社が労災の手続きにまったく協力しない場合でも労災保険の請求をすることができます。

 労災と認定されないと、治療費、休業中の生活費などの問題が生じます。また、使用者への損害賠償でも問題になることがあります。

 したがって、労働者としては、すぐにでも労災保険請求をすることが重要です。労基署や弁護士に相談し、請求手続きを進めていきましょう。

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