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精神障害の労災認定における心理的負荷の評価①事故や災害の体験


精神障害の労災認定は、業務による心理的負荷を業務による心理的負荷評価表の具体的出来事に当てはめて評価をします(心理的負荷の評価の仕方参照)。具体的な出来事の類型の①事故や災害の体験を取上げます。

事故や災害の体験

 心理的負荷評価表には、具体的な出来事の類型として「事故や災害の体験」を挙げています。

 認定基準は、さらに、①重度の病気やケガをしたこと、②悲惨な事故や災害の体験・目撃をしたことに、分類しています。

重度の病気やケガをしたこと

 平均的な心理的負荷の強度は、Ⅲとされています。認定基準は、心理的負荷の強度が「強」と判断される「重度の病気やケガ」の具体例として、次のものを挙げています。

心理的負荷の強度が「強」になる例

(1)おおむね2か月以上の入院を要する又は労災の障害年金に該当する若しくは原職への復帰ができなくなる後遺障害を残すような業務上の病気やケガをした

(2)業務上の傷病により6か月を超えて療養中の者について、当該傷病により社会復帰が困難な状況にあった、死の恐怖や強い苦痛が生じた

(3)頭部外傷等で意識障害が継続した場合

(4)観血的手術を行った場合(ただし、簡易なものを除く)

 「重度」とは、社会通念に照らして、重篤であると認められる程度の傷病を経験した場合や、従前のように仕事を続けることが到底不可能になるようなケガや病気をした場合を想定しています。

 上記のような「重度」の病気やケガに当たらないものの心理的負荷の強度は、「弱」又は「中」と判断されます。

 心理的負荷の評価に当たっては、病気やケガの内容・程度、後遺障害の程度、社会復帰の困難性等を総合評価します。

悲惨な事故や災害の体験、目撃

 平均的な心理的負荷の強度は、Ⅱとされています。心理的負荷の強度が「中」となるものは、業務に関連し、本人の負傷は軽症・無傷で死を予感させるような事故ではない場合が挙げられています。

 心理的負荷の強度が「強」となるものとして、次の例が挙げられています。

心理的負荷の強度が「強」となる例

(1) 業務に関連し、本人の負傷は軽症・無傷であったが、死を予感させる程度の事故等を体験した

(2) 業務に関連し、被害者が死亡する事故、多量の出血を伴うような事故等特に悲惨な事故であって、本人が巻き込まれる可能性がある状況や、本人が被害者を救助することができたかもしれない状況を伴う事故を目撃した

 「悲惨さ」の程度が重要となります。心理的負荷の評価は、本人が体験した場合は、予感させる被害の程度を基に評価します。他人の事故を目撃した場合は、被害の程度や被害者との関係等を総合評価します。

 上記のとおり、本人が体験した場合と傍観者として目撃した場合とを区別しています。本人が体験した場合は、上記の例のように、自らの死を予感させる程度の事故を体験した場合の総合評価は「強」となることが想定されています。一方、単に目撃したにとどまる場合の総合評価は「中」又は「弱」にとどまります。

 なお、自らもケガをした場合は、上記の「重度の病気やケガをした」としても評価されます。


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