労災保険の障害(補償)給付を取り上げます。
障害(補償)給付
業者上災害又は通勤災害による傷病の治療を受けてきた被災労働者が、治ゆ(症状固定)に至り、後遺障害が残った場合、後遺障害等級に応じて、障害(補償)年金・障害(補償)一時金・障害特別年金、障害特別一時金・障害特別支給金が支給されます(労災保険法15条1項・労災保険特別支給金規則4条・7条)。
後遺障害等級は、1級から14級に分類されています。7級以上は、障害(補償)年金が支給されます。8級以下は、障害(補償)一時金が支給されます。
障害(補償)年金
後遺障害等級1級~7級の場合に支給されます。各等級の支給額は、以下のとおりです(労災保険法別表第一)。
障害等級 | 給付基礎日額の日数 |
1級 | 313日 |
2級 | 277日 |
3級 | 245日 |
4級 | 213日 |
5級 | 184日 |
6級 | 156日 |
7級 | 131日 |
完全に就労することができない状態である障害等級3級の障害補償給付年金の給付額を給付基礎年額の67%の給付基礎日額の245日分としています。3級を基準に、労基法の災害補償の各障害等級別の比率により、障害補償年金の給付額を定めています。
これは、ILO第121号勧告で、完全永久労働能力不能の場合の年金額を労働者の従前の所得の67%と定めていることに由来しています。
障害(補償)年金前払一時金
障害(補償)年金を受給する権利を有する者は、障害(補償)年金の支給決定があった日の翌日から1年以内に1回に限って、障害(補償)年金を年金ではなく、前払いで一時金として支給することを請求できます。これを障害(補償)年金前払一時金といいます(労災保険法附則59条)。
障害(補償)年金前払一時金として請求できる金額は、次の給付基礎日額の日数から選択することになります。障害(補償)年金前払一時金が支給される場合、障害(補償)年金は、各月の支給額の合計が障害(補償)年金前払一時金の支給額に達するまで支給が停止されます。
障害等級 | 給付基礎日額の日数 |
1級 | 200日・400日・600日・800日・1,000日・1,200日・1,340日 |
2級 | 200日・400日・600日・800日・1,000日・1,190日 |
3級 | 200日・400日・600日・800日・1,000日・1,050日 |
4級 | 200日・400日・600日・800日・920日 |
5級 | 200日・400日・600日・790日 |
6級 | 200日・400日・600日・670日 |
7級 | 200日・400日・560日 |
障害(補償)一時金
後遺障害等級8級~14級の場合に支給されます。各後遺障害等級の支給額は次のとおりです(労災保険法別表第二)。
障害等級 | 給付基礎日額の日数 |
8級 | 503日 |
9級 | 391日 |
10級 | 302日 |
11級 | 223日 |
12級 | 156日 |
13級 | 101日 |
14級 | 56日 |
障害特別支給金
障害特別支給金は、後遺障害等級に応じて、次の金額が一時金として支給されます(労災保険特別支給金規則別表第一)。
なお、すでに傷病特別支給金を受給している場合は、差額が支給されます(労災保険特別支給金規則4条3項)。
障害等級 | 支給額 |
1級 | 342万円 |
2級 | 320万円 |
3級 | 300万円 |
4級 | 264万円 |
5級 | 225万円 |
6級 | 192万円 |
7級 | 159万円 |
8級 | 65万円 |
9級 | 50万円 |
10級 | 39万円 |
11級 | 29万円 |
12級 | 20万円 |
13級 | 14万円 |
14級 | 8万円 |
障害特別年金
後遺障害等級1級~7級の場合に年金として支給されます(労災保険特別支給金規則別表第二)。
障害等級 | 算定基礎額の日数 |
1級 | 313日 |
2級 | 277日 |
3級 | 245日 |
4級 | 213日 |
5級 | 184日 |
6級 | 156日 |
7級 | 131日 |
障害特別一時金
後遺障害等級8級~14級の場合に一時金として支給されます(労災保険特別支給金規則別表第三)。
障害等級 | 算定基礎日額の日数 |
8級 | 503日 |
9級 | 391日 |
10級 | 302日 |
11級 | 223日 |
12級 | 156日 |
13級 | 101日 |
14級 | 56日 |