製造業における労災事故で発生件数が多い転落事故を取上げます。
工場で足場から落ちた…

工場で足場から落ちてケガしちゃった…自分の不注意だから、労災なんてムリだよね?

そんなことないよ。転落事故は製造業あるあるで、労災の対象になりやすいんだ。
製造業でも多い墜落・転落事故
墜落・転落事故というと、建設業、陸上貨物運送業に多い事故類型です。製造業でも発生件数の多い事故類型です。
厚労省が発表した令和6年の「労働災害発生状況」によると、製造業における墜落・転落事故の死傷者数は、2,945人でした。
製造業における墜落・転落事故の例
①足場・はしご・作業台からの転落
②トラック荷台からの転落
③機械の点検中の落下
労災認定の要件
労災と認定されるには、①業務遂行性があることを前提に、②業務起因性があることが必要です。
労働者が業務に従事していれば、業務遂行性が認められます。業務起因性は、業務に内在する危険が現実化したという要件です。
製造業における墜落・転落事故の場合は、業務中に上記のような墜落・転落事故に遭った場合は、業務遂行性・業務起因性ともに認められます。
労働者に過失があっても労災
高所作業中の労働者が安全帯を付けていない、ヘルメットを着用していないといった過失があった場合でも、労災と認定されます。労働者の不注意は、労災の認定に際しては、考慮されません。
主な労災保険の補償
墜落・転落事故で労災と認定された場合の主な労災保険の補償は、以下のとおりです。
治療費
労災保険から治療費が支給されます。労災の指定病院で治療を受けた場合は、病院へ直接、支払われます。労災の指定病院以外で治療を受けた場合は、いったん、治療を立替える必要があります。

詳しくは、以下の「労災の治療費」を参照
休業補償
療養のため仕事ができなかった場合、休業補償給付が支給されます。休業補償給付は、給付基礎日額の60%が支給されます。休業補償給付とは別に、特別支給金として給付基礎日額の20%が支給されます。

詳しくは、以下の「休業(補償)給付」を参照
障害補償給付
後遺障害が残った場合、後遺障害等級に応じて障害補償給付が支給されます。1級~7級は年金、8級~14級は一時金として支給されます。

詳細は、以下の「障害(補償)給付」を参照
製造業における墜落・転落事故のよくある誤解
製造業における墜落・転落事故でよくある誤解をまとめました。
誤解 | 正しい理解 |
自分の不注意だから労災にならない | 労働者に不注意があっても労災になる |
会社が認めないから労災請求できない | 会社が認めてなくても、労災の請求はできる |
パート・派遣だから労災は関係ない | パート・派遣も労災の対象 |

以下の「パート・アルバイトも労災保険の対象になるの?」も参照
労災保険の請求準備
製造業における墜落・転落事故に遭った場合、まずは、会社に事故の事実を報告しましょう。会社が労災保険の請求の手続きをしてくれる場合としてくれない場合があります。
会社が労災保険の請求の手続きをしてくれる場合
労災保険の請求書等の書類を会社が準備してくれます。労働者としては、印鑑を押す等必要最低限のことをすれば、労災保険の請求ができます。
注意が必要なのは、会社が記載した事故状況が、労働者の認識と一致しているかどうか?です。会社は、後で、労働者から損害賠償請求されるのに備えて、事故状況を会社に有利なように記載することがあります。労働者としては、会社に任せっきりにしない方がいいです。
会社が労災保険の請求の手続きをしてくれない場合
何かと理由をつけて、会社が労災保険の請求の手続きしてくれないこともあります。その場合、労働者が労基署に労災保険の請求します。
そのためには、いつ、どこで、どのような状況で墜落・転落事故が発生したのかといった事故状況を記録しておくことが重要です。同僚などの目撃者の証言を確保しておくことも重要です。
会社が労災保険の請求の手続きに協力的ではない場合は、専門家である弁護士に相談するのをお勧めします。
製造業で墜落・転落事故に遭われた方へ
墜落・転落事故に遭った場合、まずは会社に報告し、病院で治療を受けましょう。そして、日時・場所・作業内容といった事故状況を整理し、労災保険の請求をしましょう。
会社が労災保険の請求の手続きに協力的でない場合は、一人で悩まず、弁護士に相談することで、労災保険の補償を受けられる可能性が広がります。法律事務所エソラは、労災の初回相談は無料です。

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