製造業における労災事故で発生件数が多い動作の反動・無理な動作を取上げます。
作業中に腰を痛めた…

重い荷物を持ち上げたときに腰をギクッとやっちゃって…でも自分のせいな気がして、会社に言い出せなくて…

それも立派な労災の可能性があるよ。反動や無理な動作が原因でも、仕事が関係していれば補償されるんだ!
業務中の動作の反動・無理な動作によるケガは労災
動作の反動・無理な動作の労災事故は、重い荷物を持ち上げたり、不自然な姿勢で作業した際の「反動」や「無理な動作」で生じる事故類型です。
厚労省が発表した令和6年の「労働災害発生状況」によると、製造業における動作の反動・無理な動作の死傷者数は、3,222人でした。発生件数が多く労災事故の典型といえます。
製造業における動作の反動・無理な動作の事故の例
①工場内で重量物の運搬作業で腰痛になった
②工場内で倒れかかったドラム缶を支えて腰痛になった
③膝を曲げずに前屈みの状態で荷物を持ち上げ、腰痛になった
④荷物の重さを勘違いし、重い荷物を持ち上げて、腰痛になった
動作の反動・無理な動作によるケガが、業務が原因の場合は、労災となります。労働者が不自然な姿勢をとった等の過失があっても、労災となります。
労災認定のポイント
動作の反動・無理な動作によるケガは、腰痛が多いです。労災は、業務上腰痛を①災害性腰痛と②非災害性腰痛に分けています。それぞれ、労災の認定基準を定めています。

動作の反動・無理な動作による腰痛は、①災害性腰痛です。
①災害性腰痛
災害性腰痛は、仕事中に転落や転倒等の負傷などによる腰痛です。転落や転倒などの事故でなくても、重量物を運搬中に、一人が滑って荷物から手を放したため、腰部に大きな負荷がかかったケースも災害性腰痛として労災になります。
労災となるケース
重量物の運搬中に転倒した
会社内の階段から転倒し、腰を強打した
重量物を持ち上げる際に不適当な姿勢を取り、腰に異常な負荷がかかった

災害性腰痛の労災認定基準は、以下の「災害性腰痛の労災認定」を参照
転倒等の事故以外が原因の場合は、以下のポイントを押さえておく必要があります。
労災認定のポイント
①取扱い重量物の形状、重量
②作業姿勢
③持続時間
④回数
⑤腰に作用した力の程度

これらの状況を記録しておくことが重要です。
②非災害性腰痛
非災害性腰痛は、突発的な事故等ではなく、腰に過度な負担がかかる作業に長期間従事することで発症する腰痛です。慢性的な腰痛を労災の対象にするものです。動作の反動・無理な動作による腰痛は、非災害性腰痛ではありません。

非災害性腰痛の労災認定基準は、以下の「非災害性腰痛の労災認定」を参照
主な労災保険の補償
墜落・転落事故で労災と認定された場合の主な労災保険の補償は、以下のとおりです。
治療費
労災保険から治療費が支給されます。労災の指定病院で治療を受けた場合は、病院へ直接、支払われます。労災の指定病院以外で治療を受けた場合は、いったん、治療を立替える必要があります。

詳しくは、以下の「労災の治療費」を参照
休業補償
療養のため仕事ができなかった場合、休業補償給付が支給されます。休業補償給付は、給付基礎日額の60%が支給されます。休業補償給付とは別に、特別支給金として給付基礎日額の20%が支給されます。

詳しくは、以下の「休業(補償)給付」を参照
障害補償給付
後遺障害が残った場合、後遺障害等級に応じて障害補償給付が支給されます。1級~7級は年金、8級~14級は一時金として支給されます。

詳細は、以下の「障害(補償)給付」を参照
労災保険の請求の準備
製造業で動作の反動・無理な動作でケガをした場合、まずは、会社に事故の事実を報告しましょう。会社が労災保険の請求の手続きをしてくれる場合としてくれない場合があります。
会社が労災保険の請求の手続きをしてくれる場合は、会社が記載した事故状況が、自分の認識と一致しているか?を確認した上で、労災保険の請求をしましょう。
会社が労災保険の請求に協力的出ない場合は、労働者が労基署に労災保険の請求をしましょう。請求に当たって、弁護士に相談するのをお勧めします。
製造業における動作の反動・無理な動作でケガをされた方へ
動作の反動・無理な動作によるケガは、いつい自分の不注意にせいでは?と思いがちです。しかし、製造業における動作の反動・無理な動作によるケガは、労災事故の典型です。まずは会社に報告し、病院で治療を受けましょう。そして、日時・場所・作業内容といった事故状況を整理し、労災保険の請求をしましょう。
会社が労災保険の請求の手続きに協力的でない場合は、一人で悩まず、弁護士に相談することで、労災保険の補償を受けられる可能性が広がります。法律事務所エソラは、労災の初回相談は無料です。

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