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災害性腰痛の労災認定


業務上疾病には、災害性疾病と非災害性疾病があります(労災と業務上疾病参照)。腰痛が労災になる場合も①災害性腰痛と②非災害性腰痛の場合があります。今回は災害性腰痛を取り上げます。

災害性腰痛

 業務遂行中に、転落や転倒等の負傷に起因する腰痛を災害性腰痛といいます。業務遂行中の災害性の原因によって引き起こされる主として急性腰痛症等が該当します。

 つまり、腰椎などの骨折・脱臼等の外傷性の腰痛だけでなく、急性腰痛症や突発性腰痛症を含みます。実務上、多いのは、ぎっくり腰です。

業務上腰痛の認定基準

 災害性腰痛の業務上外、つまり労災かどうかの認定は、業務上腰痛の認定基準について(昭和51年10月16日基発第750号)という通達に基づいて行われます。

 業務上の負傷(急激な力の作用による内部組織の損傷を含む)に起因して労働者に腰痛が発症した場合で、次の要件をすべて満たし、かつ、医学上療養を必要とするときは、労災と認定されます。

災害性腰痛が労災と認められる要件

(1)腰部の負傷又は腰部の負傷を生じさせたと考えられる通常の動作と異なる動作による腰部に対する急激な力の作用が業務遂行中に突発的な出来事として生じたと明らかに認められること

(2)腰部に作用した力が腰痛を発症させ、又は腰痛の既往症若しくは基礎疾患を著しく憎悪させたと医学的に認めるに足りるものであること

災害性の原因

 転倒、転落、打撲等の負傷だけでなく、明らかな負傷ではなくても、腰部の筋、靭帯等の断裂、肉離れ等の損傷を引き起こし得る程度の急激な腰部への外力の作用が業務遂行中に生じた場合を含みます。

 認定基準では、災害性の原因と事故によるものと、その他の事由によるものと区分しています。

 ①業務遂行中の転倒などによる腰部への負傷のように事故を契機としている場合は、重量物の取扱い作業中であることは必要とされていません。

 ②事故以外の場合は、重量物の取扱い作業中に、軽重に著しい差のある重量物を交互に取扱う、きわめて非生理的な姿勢をとったことにより腰部に異常な力が作用したことが必要とされています。

 したがって、重量物の取扱い以外の業務中の不自然な動作によって発症した腰痛は、災害性腰痛ではない、つまり、労災ではないということを意味します。

 重量物の重さに関しては、認定基準は特に言及していませんが、日常生活において、通常取扱う程度のものは除外すると考えられています。

腰部に既往症がある場合

 椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、腰椎分離すべり症等、労働者に既往症がある場合、腰痛自体は通常の労働に支障がない程度に軽快している状態で、業務中の災害性が原因で既往症から腰痛が発症したり、著しく憎悪した場合は、労災と認定されます。

 もっとも、労災の補償範囲は、原則として、発症前又は憎悪前の状態に回復させるためのものに限定されます。

労災の認定に際しての一般的な留意事項

 災害性腰痛の労災認定に際し、次の点に留意するように、通達に定められています。

災害性腰痛の労災認定における一般的留意事項

①症状の内容・経過

②負傷又は作用した力の程度

③重量物の形状・重量、作業姿勢、持続時間、回数等の作業状態

④性別、年齢、体格等の労働者の身体的条件

⑤素因、基礎疾患

⑥作業従事歴、従事期間


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