飲食店の労災事故で多い高温・低温物との接触を取上げます。
- 1. 油がはねた…
- 2. 飲食店における高温・低温物との接触
- 2.1.1. 飲食店における高温・低温物との接触の例
- 2.1. 飲食店における高温・低温物との接触の特徴
- 2.2. 飲食店における高温・低温物との接触の要因
- 2.2.1. 作業環境の不安定さ
- 2.2.2. ピーク時の忙しさ
- 3. 飲食店における高温・低温物との接触の労災認定のポイント
- 4. 飲食店における高温・低温物との接触のチェックリスト
- 4.1.1. 作業中にやけどをした
- 4.1.2. 会社に報告
- 4.1.3. 病院を受診
- 4.1.4. 労災請求
- 5. 飲食店における高温・低温物との接触の事例
- 5.1. ①「不注意だ」と責められたアルバイト
- 5.2. ②やけどの痕が残った
- 5.3. ③凍傷になった
- 6. 飲食店における高温・低温物との接触でケガをされた方へ
油がはねた…

ちょっと油がはねただけだからって、冷やして終わりにしちゃった…

それ、ちょっとじゃないかも。高温物との接触も立派な労災なんだよ。

でも、自分の不注意だし…慣れた作業だから…

慣れた作業ほどケガが多いんだ。火傷も、ちゃんと補償の対象だよ。
飲食店における高温・低温物との接触
高温・低温物との接触は、高温・低温物との接触や高温・低温の環境下にばく露による労災事故の類型です。
厚労省が発表した「令和6年度の労働災害の発生状況の分析等の概要」によると、飲食店における高温・低温物との接触の死傷者数は、1,040人でした。飲食店において多い労災事故類型です。
飲食店における高温・低温物との接触の例
①油:フライヤー(180℃以上)、中華鍋
②熱湯:パスタ釜、スープ寸胴、食洗機
③蒸気:スチーマー、食洗機の開放時
④高温の物体:鉄板、グリル、熱した皿や調理器具
⑤低温の物体:ドライアイス、冷凍庫、ウォークインフリーザー
飲食店における高温・低温物との接触の特徴
飲食店における高温・低温物との接触は、男性の割合が多いのが特徴です。また、若年者が多いのも特徴です。なお、ハンバーガーチェーンやファミリーレストランでは、ベテラン店員の割合が多くなっています。
飲食店における高温・低温物との接触の要因
飲食店では、作業環境の不安定さとピーク時の忙しさが高温・低温物との接触の要因となっています。また、新人教育不足も要因の一つです。
作業環境の不安定さ
厨房の狭さ、人の動線重複で接触事故が発生しやすい環境にあります。また、床が濡れていたり、油で滑るといったリスクもあります。
ピーク時の忙しさ
ピーク時の忙しい時間帯に注意力が散漫になりやすいというリスクがあります。さらに、人手不足により、、安全手順を省略しないと回らないというプレッシャーがかかります。
飲食店における高温・低温物との接触の労災認定のポイント
労災と認定されるには、①業務遂行性があることを前提に、②業務起因性があることが必要です。
労働者が業務に従事していれば、業務遂行性が認められます。業務起因性は、業務に内在する危険が現実化したという要件です。
店内での調理・配膳・清掃など作業中のやけどは、業務遂行性・業務起因性とも認められます。
飲食店における高温・低温物との接触のチェックリスト
飲食店における高温・低温物との接触による事故に遭った際の行動チェックリストです。参考にしてみてください。
作業中にやけどをした
応急処置で患部を冷やす
会社に報告
店長、上司、同僚等に報告
病院を受診
病院で仕事中の事故であることを伝える
労災請求
労災請求に当たり、発生日時、作業場所、作業内容などを記録しておく
労災保険の請求をする
会社が手続きしてくれない、非協力的な場合は弁護士に相談する
飲食店における高温・低温物との接触の事例
飲食店における高温・低温物との接触の事例を紹介します。
①「不注意だ」と責められたアルバイト
居酒屋のアルバイトの男性が、ランチのピーク時、床の油で滑り、持っていた熱いスープを腕にかぶって重度のやけどを負った。店長に報告するも、「なんで滑るんだ、お前の不注意だ」「アルバイトは労災を使えない」と言われた。
納得がいかなく弁護士に相談し、アルバイトでも労災を使えるとわかり労災請求をし労災と認められる。
②やけどの痕が残った
レストランの調理師の男性が、古いフライヤーの油が予期せず跳ね、顔と首に火傷を負った。治療したが、目立つ痕(ケロイド)が残ってしまった。会社は労災保険の請求手続きはしてくれた。
やけどの痕が残ったため、後遺障害として障害補償給付の請求をし、障害等級12級の後遺障害と認められ障害補償給付を受給した。
③凍傷になった
ホテルのセントラルキッチンで働く男性は、冷凍庫(-25℃)への食材出し入れを頻繁に行っていた。しかし、会社から防寒手袋が十分に支給されておらず、指先が紫色になり感覚が麻痺し凍傷と診断された。会社は、「冬は誰でも冷える」「大げさだ」と取り合ってくれなかった。
同僚の勧めで弁護士に相談し、労災保険の請求をし労災と認定される。
飲食店における高温・低温物との接触でケガをされた方へ
飲食店は、高温・低温物との接触のリスクの高い職場です。店長に「不注意だ」と言われても「自分のせい」と思う必要はありません。アルバイトでも正社員でも、労災保険を使う権利があります。
「会社が労災を認めてくれない」、「火傷の痕が残ってしまった」と悩んだら、一人で抱え込まず、弁護士にご相談ください。法律事務所エソラは、労災の初回相談は無料です。

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