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海外赴任者の労災


海外赴任中に、業務上の事故や業務上疾病にり患した場合、労災として扱われるのでしょうか?

労災保険は日本国内に限定

 労災保険は、政府による公的保険です。海外事業については、日本の国内法である労災保険法の適用はありません。つまり、海外赴任中に、労災事故に該当する事故の被害に遭っても、労災保険から給付を受けることはできないのが原則です。

特別加入すれば、海外赴任者も労災保険の対象となる

 労災保険には、特別加入という制度があります(労災保険の特別加入制度参照)。日本国内で行われる事業から派遣されて海外支店・工場・現地法人や海外の提携先企業など海外で行われる事業に従事する労働者は、別加入することで、労災保険から給付を受けることができます。

 また、派遣先の海外事業が中小企業に該当すれば、当該事業の代表者も特別加入の対象になります。

海外出張は特別加入しなくても、労災保険の対象

 海外出張は、特別加入しなくても、国内事業からの出張として、通常の労災保険の対象となります。そうすると、労働者が、海外出張者か?派遣労働者なのか?が問題になります。

 この点に関して、厚労省の通達がいくつかあります。「出向労働者に対する労働者災害補償保険法の適用について(昭和35年11月2日基発932号)」は、出向の目的・労働者の契約関係・労働実態から出向元(国内事業)と出向先(海外事業)のどちらに労働関係があるか判断すべきとしています。

 また、「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行等について(昭和52年3月30日付基発第192号)」は、単に労働提供の場が海外にあるにすぎず国内事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するか?海外事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのか?という点から、勤務実態を総合的に勘案して判断すべきとしています。

東京高裁平成28年4月27日判決

 約4年間、海外出向中の労働者が急性心筋梗塞で死亡し、労災保険の対象となるか?が争われた事案です。東京高裁は、上記の昭和52年3月30日基発192号と同じ視点に立ち、労務提供の場が海外にあるにすぎず、国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮命令に従い勤務する労働者である海外出張者に当たると判断し、通常の労災保険の対象となるとしています。


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