製造業における労災事故で発生件数の多い切れ・こすれ事故を取上げます。
作業中にカッターで手を切った…

作業中にカッターで手を切っちゃって…完全に私のミスだから、労災にはならないよね…

そう思ってる人多いけど、それは誤解なんだよ。

えっ、ミスでも労災になるの?

うん。過失があっても、業務が原因なら労災になるんだよ。
製造業に多い切れ・こすれ事故
切れ・こすれ事故は、工具・機械・金属片などによって手や指などが切れる、擦れることで生じる事故です。
厚労省が発表した令和6年の「労働災害発生状況」によると、製造業における切れ・こすれ事故の死傷者数は、2,211人でした。
製造業における切れ・こすれ事故の例
①カッター・包丁・金属板などでの切創
②製造ラインでの手切り
労災認定の要件
労災と認定されるには、①業務遂行性があることを前提に、②業務起因性があることが必要です。
労働者が業務に従事していれば、業務遂行性が認められます。業務起因性は、業務に内在する危険が現実化したという要件です。
製造業における切れ・こすれ事故の場合は、業務中に刃物等で手を切った場合は、業務遂行性・業務起因性ともに認められます。
労働者に過失があっても労災
前述のとおり、労災と認定されるには、①業務遂行性があることを前提に、②業務起因性があることが必要です。労働者に過失がないことは要件ではありません。
したがって、たとえ、労働者に過失があっても、労災と認定されます。不注意で指を切った、手を切ったという場合も労災です。
主な労災保険の補償
切れ・こすれ事故で労災と認定された場合の主な労災保険の補償は、以下のとおりです。
治療費
労災保険から治療費が支給されます。労災の指定病院で治療を受けた場合は、病院へ直接、支払われます。労災の指定病院以外で治療を受けた場合は、いったん、治療を立替える必要があります。

詳しくは、以下の「労災の治療費」を参照
休業補償
療養のため仕事ができなかった場合、休業補償給付が支給されます。休業補償給付は、給付基礎日額の60%が支給されます。休業補償給付とは別に、特別支給金として給付基礎日額の20%が支給されます。

詳しくは、以下の「休業(補償)給付」を参照
障害補償給付
後遺障害が残った場合、後遺障害等級に応じて障害補償給付が支給されます。1級~7級は年金、8級~14級は一時金として支給されます。

詳細は、以下の「障害(補償)給付」を参照
切れ・こすれ事故でよくある誤解
製造業における切れ・こすれ事故で、よくある誤解をまとめました。
誤解 | 正しい理解 |
自分のミスだから労災にならない… | ミスがあっても労災になる |
軽いケガだから報告しなくていい | 後から悪化することもあるので必ず報告する |
会社に迷惑かけるかも… | 労災保険の請求だけで会社に迷惑はかからない |
病院で健康保険を使った | 労災で健康保険は使えない |
製造業で切れ・こすれ事故に遭われた方へ
切れ・こすれ事故に遭った場合、まずは会社に報告し、病院で治療を受けましょう。そして、日時・場所・作業内容といった事故状況を整理し、労災保険の請求をしましょう。会社が労災保険の請求の手続きをしてくれない場合は、弁護士にご相談ください。
自分のミスだから…と諦める前に、まずはご相談ください。法律事務所エソラは、労災の初回相談は無料です。

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