厚労省から平成29年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。その内、精神障害についての統計資料を紹介します。
平成29年度 精神障害の労災補償状況
平成29年度は1,732件の請求に対して、1,545件について決定がなされました。その内、労災と認定されたのは、506件でした。労災の認定率は32.8%でした。
その内、未遂を含む過労自殺の請求件数は221件で、208件について決定がなされました。過労自殺について労災と認定されたのは98件でした。労災の認定率は47.1%でした。
業種別の請求件数
精神障害の労災の請求件数が最も多い業種は、医療・福祉で313件でした。次に308件の製造業、232件の卸売業・小売業が続きます。
さらに業種を分類すると、医療・福祉の内、社会保険・社会福祉・介護事業の174件が最も多く、同じく医療・福祉の医療業が139件、運輸業・郵便業の道路貨物運送業の84件が続きます。
業種別の認定件数
精神障害の労災の認定件数が最も多い業種は、製造業で87件でした。次に82件の医療・福祉、65件の卸売業・小売業と続きます。
さらに業種を分類すると、運輸業・郵便業の道路貨物運送業の45件が最も多く、医療・福祉の医療業、同じく医療・福祉の社会保険・社会福祉・介護事業がそれぞれ41件で続きます。
職種別の認定件数
精神障害の職種別の労災認定件数が最も多い職種は、専門的・技術的職業従事者で130件でした。次いで、70件のサービス職業従事者、66件の事務従事者、56件の生産工程従事者従事者と続きます。
さらに職種を分類すると、事務従事者の内一般事務従事者の48件が最多で、輸送・機械運転従事者の自動車運転従事者の38件、管理的職業従事者の法人・団体管理職員の35件、販売従事者の営業職業従事者の28件が続きます。
年齢別の認定件数
40代が158件と最も多く、次いで30代が131件で続きます。過労自殺についても40代の36件が最も多く、次いで30代が26件でした。
時間外労働別の認定件数
脳・心臓疾患と異なり、20時間未満での労災認定件数が75件と最多でした。次いで160時間以上が49件、100時間以上120時間未満が41件と続きます。
また、出来事による心理的負荷が極度と認められる事案等、労働時間を調査するまでもなく、業務起因性を肯定したものが144件ありました。
精神障害の労災認定においては、時間外労働以外の他の業務上の心理的負荷によるものが多く労災認定されていることがわかります。
精神障害の出来事別の認定件数
精神障害で労災と認定された中で最も多い出来事の類型は、「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」で88件でした。次いで「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」が64件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が63件と続きます。また、特別な出来事による労災認定は、63件でした。
過労自殺については、「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」が21件で最多でした。次いで特別な出来事の14件、「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の12件と続きます。