労災保険の給付の内、遺族(補償)一時金を取上げます。
遺族(補償)給付
労働災害(労災事故・業務上疾病)によって、労働者が死亡した場合は、遺族補償年金、遺族補償一時金、遺族特別年金・遺族特別維持金、遺族特別支給金が遺族に対して支給されます(労災保険法16条等)。
今回は、遺族補償一時金(労災保険法16条の6)について説明します。
他の遺族(補償)給付である遺族補償年金は、以下の記事参照
遺族補償一時金の支給要件
遺族補償一時金は、遺族補償年金を受給できる遺族がいない場合に、その他の遺族に対して支給される労災保険給付です(労災保険法16条の6)。つまり、被災労働者の死亡当時、遺族補償年金を受給できる遺族がいない場合、他の遺族は遺族補償一時金を受給できます。
また、遺族補償年金の受給権者の権利が消滅した場合で、他に遺族補償年金の受給権者がおらず、かつ、すでに支払われた遺族補償年金の合計額が給付基礎日額の1,000日に達していない場合は、他の遺族は遺族補償一時金を受給できます。
受給権者の順位
遺族補償年金の受給権者は、次の順位のうち、最順位の遺族に支給されます。
受給権者の順位
(1)配偶者
(2)労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫、祖父母
(3)その他の子、父母、孫、祖父母
(4)兄弟姉妹
なお、(2)と(3)については、子→父母→孫→祖父母の順位になります。遺族補償一時金の受給権者が複数いる場合は、受給権者の人数で割った金額をそれぞれ受給することになります。
支給内容
遺族補償一時金は、給付基礎日額の1,000日分が支給されます。また、遺族特別一時金として算定基礎日額の1,000日分が支給されます。遺族特別一時金300万円も支給されます。
すでに他の遺族が遺族補償年金を受給していた場合は、支払済みの合計額が控除されて支給されます。