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令和5年度・精神障害の労災補償状況


厚労省から公表された令和5年度の精神障害の労災補償状況の概要を紹介します。

令和5年度の精神障害の労災補償状況

 令和5年度の精神障害の労災の請求件数は、3,575件でした。令和4年度から1,851件増加しています。労災かどうか?の決定が行われたのは、2,582件で、労災と認定されたのは883件でした。精神障害の労災認定率は、34.2%でした。

 精神障害の内、過労自殺の請求件数は、212件でした。令和4年度から24件増加しています。労災かどうか?の決定が行われたのは、170件で、労災と認定されたのは79件でした。過労自殺の労災認定率は、46.5%でした。

業種別の精神障害の労災請求件数

 業種別の精神障害の労災請求の件数の多い上位5つは、以下のとおりです。

業種労災請求件数
社会保険・社会福祉・介護事業494件(内、過労自殺12件)
医療業391件(内、過労自殺10件)
道路貨物運送業152件(内、過労自殺7件)
その他の事業サービス業134件(内、過労自殺6件)
その他の小売業111件(内、過労自殺9件)

 なお、社会保険・社会福祉・介護事業は約74%、医療業は約78%が女性で、女性の比率が高くなっています。

業種別の精神障害の労災認定件数

 精神障害が労災と認定された件数の多い業種の上位5つは、以下のとおりです。

業種労災認定件数
社会保険・社会福祉・介護事業112件(内、過労自殺3件)
医療業105件(内、過労自殺3件)
総合工事業57件(内、過労自殺8件)
道路貨物運送業56件(内、過労自殺4件)
飲食店27件(内、過労自殺0件)

 6位にその他の小売業24件が続きます。

職種別の精神障害の労災認定件数

 精神障害で労災と認定された件数の多い職種の上位5つは、以下のとおりです。

 ①一般事務従事者:107件(内、過労自殺9件)

 ②保健師・助産師・看護師:77件(内、過労自殺1件)

 ③自動車運転従事者:53件(内、過労自殺3件)

 ④介護サービス職業従事者:43件(内、過労自殺1件)

 ④社会福祉専門職業従事者:43件(内、過労自殺1件)

年齢別の精神障害の労災認定件数

 年齢別の精神障害の労災認定件数は、40代の239件(内、過労自殺23件)が最多です。次に20代の206件(内、過労自殺17件)、30代の203件(内、過労自殺6件)が続きます。

 若い労働者が精神障害で労災と認定されていることがわかります。

時間外労働別の精神障害の労災認定件数

 1か月平均の時間外労働時間別の精神障害の労災認定件数を見ると、20時間未満が最多です。

 ①20時間未満:63件(内、過労自殺4件)

 ②100時間以上120時間未満:55件(内、過労自殺7件)

 ③20時間以上40時間未満:42件(内、過労自殺5件)

 ④60時間以上80時間未満:41件(内、過労自殺14件)

 ⑤40時間以上60時間未満:35件(内、過労自殺7件)

 脳・心臓疾患の労災認定と比べて、労働時間はあまり重視されていないことがわかります。

精神障害の出来事別の労災認定件数

 精神障害の労災認定基準の具体的出来事別の労災認定件数の上位5つは、以下のとおりです。

 ①パワハラ:157件(内、過労自殺10件)

 ②悲惨な事故や災害の体験・目撃:111件(内、過労自殺0件)

 ③セクハラ:103件(内、過労自殺0件)

 ④仕事内容・仕事量の大きな変化:100件(内、過労自殺18件)

 ⑤特別な出来事:71件(内、過労自殺5件)

 6位に同僚等から暴行・いじめ・嫌がらせの59件が続きます。精神障害の労災認定は、職場の人間関係が起因している事案が多いということがわかります。


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