労災に直接関係しませんが、産業医を取上げます。
100時間の残業をさせたら、産業医に報告
報道によると、厚労省は、過労死・過労自殺を防止するため、産業医の権限を強化する方針だそうです。企業に対し、月100時間超過する残業している従業員を産業医に報告されることを義務付けるそうです。
産業医とは?
労働安全衛生法は、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で産業医を選任することを義務付けています(13条1項、施行令5条)。
では、産業医とは、どういう医師なのでしょうか?
産業医は、以下のずれかの要件を充足した医師のことです(13条2項、規則14条2項)。
産業医の要件
①厚労相の定める研修の修了者
②産業医科大学等の大学で所定の過程を修め卒業し、当該大学が行う実習を履修した者
③労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、試験区分が保健衛生
④大学で労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師経験のある者
⑤平成10年9月末時点で、3年以上産業医の経験がある者
上記の要件からわかるように、産業医は必ずしも精神科医とは限りません。
産業医の職務
産業医は以下の事項について、総括安全衛生管理者に勧告し、衛生管理者に対して助言・指導することができます(規則14条3項・1項)。
産業医が勧告、助言・指導する事項
①健康診断・面接指導の実施等に関する事項
②作業環境の維持管理に関する事項
③作業管理に関する事項
④①~③以外の労働者の健康に関する事項
⑤健康教育等の労働者の健康保持増進を図るための措置
⑥衛生教育
⑦労働者の健康障害の原因の調査・再発防止のための措置
また、産業医は、労働者の健康確保のために必要があると認めるときは、事業者に対して勧告をすることができます。勧告された事業者は、勧告を尊重しなければなりません(13条5項)。
産業医は、毎月1回は、作業上等を巡視し、作業方法、衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに労働者の健康障害を防止する必要な措置を講じる義務があります(規則15条)。