画像所見が認められない高次脳機能障害は、障害(補償)給付の後遺障害と認められないのでしょうか?
高次脳機能障害の後遺障害の認定
高次脳機能障害の後遺障害の認定に当たっては、高次脳機能障害が脳の器質的病変に基づくものであることを理由に、MRI・CT等により器質的病変が認められることを前提にしています。
※詳しくは、交通事故HPの高次脳機能障害を参照
MRI・CT等によって、他覚的所見は認められないが、脳損傷があることが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるものは、14級の9が認定されるにとどまります。
つまり、高次脳機能障害が後遺障害として認められるには、画像所見が必要とされているということができます。
画像所見が認められない高次脳機能障害に係る障害(補償)給付請求事案の報告について(平成25年6月18日基発618第1号)
平成25年6月18日に、厚労省から「画像所見が認められない高次脳機能障害に係る障害(補償)給付請求事案の報告について」という通達が出されています。
この通達は、平成24年度の厚生労働科学研究障害者対策総合研究事業の「高次脳機能障害の地域生活支援の推進に関する研究」の結果を踏まえたものです。
同研究によると、画像所見が認められない症例で、MTBI(軽度外傷性脳損傷)に該当する受傷時に意識障害が軽度のものであっても、高次脳機能障害を残す可能性について考慮する必要があるとしています。そして、画像所見が認められない場合であっても、障害等級14級を超える障害が残る可能性が示されています。
そこで、厚労省は、画像所見が認められない高次脳機能障害を含む障害(補償)給付請求事案は、本省で個別に判断するとしています。画像所見のない高次脳機能障害であっても、14級以上の後遺障害等級が認められる余地が出てきました。