労災保険の業務上疾病のうち,物理的因子によるその他の疾病を取上げます。

物理的因子によるその他の疾病

 労基法は,別表において業上疾病を例示列挙しています。そのうち,別表第1の2第2号13は,「1から12までに掲げるもののほか,これらの疾病に付随する疾病その他物理的因子に起因することの明らかな疾病」を業務上の疾病として規定しています。

 つまり,以下の3つの場合も労災の業務上疾病として扱われることになります。

 (1)物理的因子による業務上の疾病として例示されている疾病に付随する疾病

 (2)例示されている疾病の発生原因因子による例示疾病以外の疾病

 (3)例示されている疾病の発生原因因子以外の物理的因子にさらされる作業環境下で業務に従事した結果発生したと認められる疾病

 (3)に該当する疾病としては,地下作業による眼球震盪症等が想定されます(地下作業による眼球震盪症の労災認定基準参照)。

その他物理的因子に起因することの明らかな疾病

 ここでいう「明らかな」とは,有害因子への事故的ばく露による急性疾患といった業務起因性が明白な疾病のほか,例示疾病と異なり一般的な形で業務起因性を推定するのは困難だが,有害因子へのばく露条件,身体的素因等と検討した結果,個別に業務と疾病との間に相当因果が客観的に認められる疾病を業務上疾病とする趣旨とされています。

例示されている疾病に付随する疾病

 例示されている疾病に付随する疾病としては,以下のような疾病が想定されます。

 (1)潜函病・潜水病に付随する疾病(高圧作業による疾病の労災認定基準参照)

  肺の過伸展による肺組織の損傷・続発症,圧不良性骨壊死,聴器・副鼻腔・歯・肺の締め付けによる障害,潜水器具による締め付け障害,酸素中毒・窒素酔いによる精神神経障害,二酸化炭素中毒

 (2)超音波にさらされる業務による手指等の壊死に付随する疾病(超音波による手指等の組織壊死の労災認定基準参照)

  超音波にさらされる業務による手指等の壊死に付随して発生する耳鳴り,頭痛,耳内痛等の症状

例示されている疾病の発生原因因子による例示疾病以外の疾病

 マイクロ波にさらされる業務により発生する皮膚に紅斑等の障害,寒冷な場所における業務又は低体温物体を取り扱う業務による凍傷(凍傷の労災認定基準参照)以外の末梢循環障害・腎障害・神経痛・関節炎等の疾病などが想定されます。