陸上貨物運送業に多い労災事故のはさまれ・巻き込まれ事故を取上げます。
- 1. 荷役作業中にはさまれ事故に…
- 2. 陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故
- 2.1.1. 陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故の例
- 2.1. 他業種のはさまれ・巻き込まれ事故との比較
- 3. 陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故は労災の対象?
- 4. 主な労災保険の補償
- 4.1. 治療費
- 4.2. 休業補償
- 4.3. 障害補償給付
- 5. 陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故のよくある誤解と注意点
- 6. 陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に遭った際のチェックリスト
- 7. 陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故の事例
- 8. 陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に遭った方へ
荷役作業中にはさまれ事故に…

荷台で荷物を積んでたら、フォークリフトが急に動いて…今もトラックの近くに立つのが怖くて…

運送業では「荷物に挟まれた」とか、「車両に巻き込まれた」って事故、ほんとに多いんだ。現場の構造的な危険もあるしね。
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故
はさまれ・巻き込まれ事故は、重機や機械の可動部に衣服・手足・身体が巻き込まれる事故です。重篤な後遺障害や死亡に至る事故もあります。
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故の例
①トラック荷台での積み込み・積み下ろし中に機械装置が倒れる
②フォークリフト・パレットの接触
③車両の発進・バック時の巻き込み
④トレーラー・コンテナのドア開閉時に挟まれる
他業種のはさまれ・巻き込まれ事故との比較
| 製造業 | 建設業 | 陸上貨物運送業 | |
| 主な作業環境 | 工場内の機械作業 | 現場での重機による作業 | 荷役作業、車両周辺での作業 |
| 危険源 | 生産設備、プレス機など | クレーン、資材など | フォークリフト、荷台、車両 |
| 管理体制 | 固定現場で安全管理 | 元請主導の管理 | 荷主施設、駐車場など他社敷地が多く、安全管理が疎かになりがち |
| 特徴的リスク | 保守作業、トラブル対応などの非定時作業 | 高所、重機接触 | 荷役、車両移動、立ち位置の錯誤 |
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故は労災の対象?
労災と認定されるには、①業務遂行性があることを前提に、②業務起因性があることが必要です。
労働者が業務に従事していれば、業務遂行性が認められます。業務起因性は、業務に内在する危険が現実化したという要件です。
荷役作業などに従事している最中に発生したはさまれ・巻き込まれ事故は、業務遂行性・業務起因性ともに認められます。
主な労災保険の補償
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故で労災と認定された場合の主な労災保険の補償は、以下のとおりです。
治療費
労災保険から治療費が支給されます。労災の指定病院で治療を受けた場合は、病院へ直接、支払われます。労災の指定病院以外で治療を受けた場合は、いったん、治療を立替える必要があります。

詳しくは、以下の「労災の治療費」を参照
休業補償
療養のため仕事ができなかった場合、休業補償給付が支給されます。休業補償給付は、給付基礎日額の60%が支給されます。休業補償給付とは別に、特別支給金として給付基礎日額の20%が支給されます。

詳しくは、以下の「休業(補償)給付」を参照
障害補償給付
後遺障害が残った場合、後遺障害等級に応じて障害補償給付が支給されます。1級~7級は年金、8級~14級は一時金として支給されます。

詳細は、以下の「障害(補償)給付」を参照
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故のよくある誤解と注意点
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故について、よくある誤解と注意点をまとめました。
| よくある誤解 | 正しい理解 |
| 自分の不注意で転倒したから労災じゃない | 労働者に不注意があっても労災になる |
| 荷主の敷地だから労災じゃない | 会社外の作業中の事故も労災になる |
| 会社が労災と認めないと申請できない | 労災と認めるのは労基署、労働者が労基署に労災保険の請求できる |
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に遭った際のチェックリスト
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に遭った際の行動チェックリストです。参考にしてみてください。
| チェック項目 | 確認ポイント |
| □作業中のはさまれ・巻き込まれ事故 | 日時、場所、作業内容など事故状況を記録 |
| □医師の診断書の入手 | 医師に業務中の事故と伝える 労災指定病院の場合は診断書は不要 |
| □雇用契約の有無 | 実態は雇用契約ではないか?委託契約等の内容を確認 |
| □労災保険の請求に必要な資料・書類の入手 | 労基署や弁護士に相談し確認 |
| □労災保険の請求 | 会社が労災保険の請求をしてくれない場合は自分でする |
| □弁護士に相談 | 特に会社が労災保険の請求をしてくれない場合は弁護士に相談するのをおすすめ |
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故の事例
30代男性ドライバーが、倉庫でフォークリフトがバックした際、荷台と壁の間に腰を挟まれ骨折した。荷主の敷地だったことを理由に、会社は「うちの責任じゃない」と労災申請に消極的だった。
弁護士に相談し、労災保険の請求をし労災と認定された。休業補償給付等の労災保険の給付を受けることができた。
陸上貨物運送業におけるはさまれ・巻き込まれ事故に遭った方へ
はさまれ・巻き込まれ事故は重症化しやすい事故類型です。まずは、会社に報告し、病院で治療を受けましょう。そして、日時・場所・作業内容といった事故状況を整理し、労災保険の請求をしましょう。
会社が労災保険の請求の手続きに協力的でない場合は、一人で悩まず、弁護士に相談することで、労災保険の補償を受けられる可能性が広がります。法律事務所エソラは、労災の初回相談は無料です。

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