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第三者行為における労災保険の損益相殺と過失相殺


労災保険給付を損益相殺する際、過失相殺との先後について判断した最高裁判決を紹介します。

高田建設事件(最高裁平成元年4月11日判決)

 第三者行為災害に係る損害賠償額の算定に当たり、過失相殺を行う場合に、過失相殺と労災保険給付額の控除との先後について判断した判決です。

最高裁の判断

 以下のように、最高裁は過失相殺をまず行い、その後に、労災保険給付について損益相殺を行うと判断しました。

 労働者災害補償保険法に基づく保険給付の原因となった事故が第三者の行為により惹起され、第三者が当該行為によって生じた損害につき賠償責任を負う場合において、事故により被害を受けた労働者に過失があるため損害賠償額を定めるにつきこれを一定の割合で斟酌すべきときは、保険給付の原因となった事由と同一の事由による損害の賠償額を算定するには、損害の額から過失割合による減額をし、その残額から保険給付の価額を控除する方法によるのが相当である。

 労災保険法12条の4は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、受給権者に対し、政府が先に保険給付をしたときは、受給権者の第三者に対する損害賠償請求権は給付の価額の限度で当然国に移転し、第三者が先に損害賠償をしたときは、政府はその価額の限度で保険給付をしないことができると定め、受給権者に対する第三者の損害賠償義務と政府の保険給付義務とが相互補完の関係にあり、同一の事由による損害の二重填補を認めるものではない趣旨を明らかにしているのであって、政府が保険給付をしたときは、保険給付の原因となった事由と同一の事由については、受給権者が第三者に対して取得した損害賠償請求権は、給付の価額の限度において国に移転する結果減縮すると解されるところ、損害賠償額を定めるにつき労働者の過失を斟酌すべき場合には、受給権者は第三者に対し当該過失を斟酌して定められた額の損害賠償請求権を有するにすぎないので、同条1項により国に移転するとされる損害賠償請求権も過失を斟酌した後のそれを意味すると解するのが、文理上自然であり、規定の趣旨にそうものといえる。


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