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会社役員に対する損害賠償(労災の損害賠償)


労災事故の発生や過労死・過労自殺について、会社に安全配慮義務違反がある場合、被災労働者は会社に対して損害賠償請求できます。会社だけではなく、会社の役員に対しても損害賠償請求をすることができる場合があります。

会社役員に対する損害賠償請求

 会社役員に対して損害賠償請求を行うには、①会社法上の役員等の第三者に対する責任を追及する、または、②民法の不法行為責任を追及することになります。

役員等の第三者に対する責任

 会社の役員等が職務を行うについて悪意又は重大な過失があった場合、その役員は、第三者に生じた損害を賠償する責任を負います(会社法429条1項)。

 会社役員は、会社に対して善管注意義務・忠実義務を負っています(会社法330条・民法644条、会社法355条)。善管注意義務の具体的な内容として、会社で働く労働者の生命・健康を損なうことがない体制を構築して、長時間労働等の過重労働を抑制する措置を取る義務があると解されます。

 現実に、労働者の多くが長時間労働に従事していることを役員が認識していたか、容易に認識することができたにもかかわらず、是正措置を取らなかった場合は、これらの義務に違反しているということになります。

 ただし、代表取締役は会社の代表者として、会社の業務全般に責任を負っていますが、他の役員の任務は、会社内部の任務分担の状況によっても異なります。会社役員に対する賠償責任が認められるかどうかは、役員の担当業務、取締役会での議論状況、その他の個々の具体的事情等で結論が左右されます。

会社が中小零細企業の場合

 労災事故や過労死・過労自殺を引き起こした会社が中小零細企業の場合、代表者や役員が、労働者の勤務実態や安全管理の実情を直接把握していたり、管理していることがあります。また、代表者が実際に現場で安全管理を行っている場合もあるでしょう。

 このような場合、会社だけではなく、勤務実態や安全管理体制を放置したことを以って、役員に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。

会社が大企業の場合

 会社が大企業の場合、代表者や役員が個々の労働者の勤務実態等を直接把握していることは少ないと思われます。しかし、勤務実態を把握していないからといって、賠償責任を免れるわけではありません。

 前述のとおり、役員は、会社が安全配慮義務違反によって、労働者の健康を損なうことがないように、注意する義務を負っており、この義務に違反した場合は、賠償責任を負います。

大阪高裁平成23年5月25日判決(大庄事件)

 新入社員が1か月平均100時間の時間外労働に従事し、入社4か月目に急性心機能不全で死亡した過労死の事件です。会社に安全配慮義務違反があることを認めた上で、取締役である代表者、管理本部長、店舗本部長、支社長についても以下のように、賠償責任を認めています。

 会社の労働者の極めて重大な法益である生命・健康を損なうことがないような体制を構築し、長時間勤務による過重労働を抑制する措置を取る義務があることは明らかであり、この点の義務懈怠において悪意又は重過失が認められるとして、会社法の役員の第三者責任と不法行為責任を肯定しました。


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