業務上疾病の一つである騒音性難聴の労災認定基準について取り上げます。

騒音性難聴

 業務上疾病として「著しい騒音を発する場所における業務による難聴等の耳の疾患」が例示列挙されています。

 ここでいう難聴には,①騒音性難聴と②騒音性突発難聴があります。①騒音性難聴とは,騒音に慢性的にばく露されているうちに進行する難聴です。職業性難聴ともいわれ,著しい騒音を発する作業環境下で長期間にわたり業務に従事することで,特段の自覚症状なしに徐々に聴力低下を来します。②騒音性突発難聴は,騒音性難聴が進行する過程で,特に強大な音響へのばく露なしに,突発的又は数十時間のうちに急速に起こる難聴です。

騒音性難聴の認定基準(昭和61年3月18日基発149号)

 金属研磨,鋲打,圧延等著しい騒音を発する場所における業務に従事していた労働者に発生した難聴であって,次に掲げるいずれの要件を満たすものは,労災と認定されます。

 (1)著しい騒音にばく露される業務に長期間引続き従事した後に発生したもの

 (2)次の①,②のいずれにも該当する難聴

  ①鼓膜又は中耳に著変がない

  ②鈍音聴力検査の結果が次のとおり

   ア オージオグラムで気導値及び骨導値が障害され,気導値と骨導値に明らかな差がない

     つまり,感音難聴の特徴を示している

   イ オージオグラムで聴力障害が低音域より3000Hz以上の高音域で大である

 (3)中耳炎等による難聴でないと判断されるもの

著しい騒音にばく露される業務

 作業者の耳の位置における騒音がおおむね85㏈(A)以上である業務とされています。

長期間

 認定基準のいう長期間とは,おおむね5年又はこれを超える期間をいいます。

中耳炎等

 中耳炎の他に,メニエール病,薬物中毒,爆音,頭・頸部外傷等による内耳障害,遺伝性難聴,老人性難聴,機能性難聴,その他騒音性難聴以外の感音難聴が挙げられています。

騒音性難聴の治療

 騒音性難聴には有効な治療法が発見されていないとして,労災では,治療は必要な療養とは認めていません。つまり,騒音性難聴に対する労災での補償は障害補償給付のみです。

 騒音性難聴は,同一業務に従事している限り,その症状は漸次進行するので,離職時に症状固定として障害等級を決定することにしています(昭和26年10月24日基収3209号)。