芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体による疾病の労災認定基準
労災の業務上疾病の内、芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体による疾病の労災認定基準を取上げます。
芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体による疾病の認定基準について(昭和51年8月4日基発565号)
芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体にばく露する作業に従事した労働者に発症した疾病は,この認定基準に従って,労災認定が行われます。
認定基準
芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体にばく露する業務に現に従事し,又は従事していた労働者に発生した疾病であって,次の要件を満たす場合は,労災と認定されます。
(1)芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体にばく露する業務に相当期間従事した後おおむね6カ月以内の間に発生した疾病
(2) 次の①の自覚症状に加えて②から⑦までに掲げる症状のいずれかに該当する症状が認められる疾病
①常時又は持続的に訴えられる次に掲げる自覚症状のうちいずれかのもの
頭重,頭痛,めまい,心悸亢進,倦怠感,悪心,胸痛,尿の異常着色(茶褐色),頻尿,排尿痛,皮膚の掻痒感,皮膚の発疹
②明らかなチアノーゼ,メトロヘモグロビン血症又は赤血球にハインツ小体が認められるもの
③常時存在する貧血
④肝機能検査における明らかな異常
⑤明らかな精神神経障害
⑥接触皮膚炎
⑦非細菌性の出血性膀胱炎
業務により一時的に大量又は濃厚な芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体にばく露して急性中毒又はその続発症を起こしたものは労災と認定されます。
芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体のうち「ベンジジン及びその塩」又は「ベータ-ナフチルアミン及びその塩」にばく露する業務に従事していた者に発生した疾病で次の要件を満たすものは,労災と認定されます。
(1) 上記の業務への従事歴が3カ月以上の者に発生した疾病
(2) 尿路(腎臓,腎孟,尿管,膀胱及び尿道をいう。)に原発した腫瘍である