労働者が運動競技会に出場中に発生した災害は、労災と認められるのでしょうか?
運動競技会に出場中の災害
運動競技に伴う災害の業務上外の認定は、他の災害と同様に、①運動競技が労働者の業務行為またはそれに伴う行為として行われ、かつ、②労働者の被った災害が運動競技に起因する場合は、業務上、つまり労災と認められます。
一方、運動競技に伴って発生した災害が、恣意的な行為や業務を逸脱した行為に起因する場合は、労災とは認められません。
運動競技に伴う災害が労災と認められるためには、運動競技が労働者の業務行為と認められる必要があります。その判断要素が、通達で示されています。
運動競技に伴う災害の業務上外の認定について(平成12年5月18日基発366号)
通達では、運動競技会を①対外的な運動競技会と②事業場内の運動競技会に分けて、業務行為に当たるか?を判断しています。
対外的な運動競技会
次の要件をすべて充足する場合は、業務行為として扱われます。
運動競技会が業務行為に該当する場合
①運動競技会出場が、出張又は出勤として取り扱われるものであること
②運動競技会出場に関して、必要な旅行費用等の負担が事業主により行われ、労働者が負担するものではないこと
②には、競技団体等が全部又は一部を負担する場合を含みます。
労働者が個人として運動競技会に出場する場合や、上記の要件を形式的に満たすにすぎない場合は、事業主の便宜供与があったと解されるので、業務行為としては扱われません。
事業場内の運動競技会
次の要件をすべて充足する場合は、業務行為として扱われます。
事業場内の運動競技会が業務行為と判断される要件
①運動競技会は、同一事業場又は同一企業に属する労働者全員の出場を意図して行われるものであること
②運動競技会当日は、勤務を要する日とされ、出場しない場合、欠勤したものとして取り扱われること
運動競技会の練習に伴う災害
通達は、労働者が行う練習について、上記の要件に加えて、事業主が予め定めた練習計画に従って行われる場合は、業務行為として扱うことにしています。
練習計画とは、練習時間・場所・内容が決められていることを意味します。なお、事業主が予め認めた範囲内で、労働者に練習計画の変更について裁量が与えられているものであっても、ここでいう練習計画に含まれます。