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精神障害の労災認定における恒常的長時間労働


精神障害の労災認定における恒常的長時間労働について取上げます。

精神障害の労災認定と時間外労働

 精神障害の労災認定における心理的負荷の評価に際し、時間外労働数が評価の対象となるのは、以下の4つです。

精神障害の労災認定において長時間労働が問題となる場面

①特別な出来事の極度の長時間労働

②具体的出来事の仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった

③具体的出来事の1か月間に80時間以上の時間外労働を行った

④具体的出来事の心理的負荷を「強」に修正する恒常的長時間労働 

 ①~③は、発病前6か月(180日)における1か月間ごとの時間外労働時間数に基づき評価を行います。

恒常的長時間労働

 具体的出来事の前後で恒常的な長時間労働があった場合、出来事の心理的負荷の強度を強める要素となる場合があります。④恒常的長時間労働の問題です。

 恒常的長時間労働は、出来事の発生前後のものを別々に評価します。

 まず、発病前6か月間の期間を具体的出来事の発生日により、①出来事前の期間と②出来事後の期間に分けます。

 そして、①②のそれぞれの期間内で算定し得るすべての連続した30日について、時間外労働時間数を算出します。

 ①②のそれぞれの期間について、時間外労働時間数が100時間程度となる月(30日)が1回でも存在すれば、その期間について、恒常的長時間労働があったと評価されます。

 なお、恒常的長時間労働がある場合に、心理的負荷の強度が「強」となる具体的出来事は、労働時間を加味せずに、その出来事の心理的負荷の強度が「中」又は「弱」と評価される場合です。

恒常的長時間労働の評価期間

 出来事は、当日の就業時間中に生じるのが通常です。したがって、①出来事前の期間は、発病日の6か月前から出来事発生日の前日までの期間となります。②出来事後の期間は、出来事の発生日から発病日までの期間となります。

 発生時期が異なる出来事が複数存在する場合は、それぞれの出来事を起点に、恒常的長時間労働の評価を行います。

発病日・出来事の発生日が特定できない場合

 精神障害の労災認定において、発病日・出来事の発生日が、特定できない場合があります。その場合、労基署では、以下のように、取扱います。

発病日が特定できない場合

 精神障害の発病日が特定できない場合は、当該発病月に含まれる日の最も早い日付の6か月前から出来事の発生日までを①出来事前の期間とします。当該発病月に含まれる最も遅い日付から出来事の発生日までを②出来事後の期間とします。

具体例①

発病時期:令和5年12月

出来事発生日:令和5年11月1日 

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 ①出来事前の期間:令和5年6月5日~令和5年10月31日

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 ②出来事後の期間:令和5年11月1日~令和5年12月31日

出来事の発生日が特定できない場合

 出来事の発生日が特定できない場合は、当該発生月に含まれる日すべてについて、①出来事前、②出来事後の期間の算出を行います。

具体例②

発病時期:令和5年12月

出来事発生時期:令和5年11月

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令和5年11月1日~11月30日をすべて出来事の発生日とみなします。

11月1日、2日~11月30日まで、それぞれの期間の時間外労働時間数を算出します。

11月1日の場合

 令和5年6月5日~令和5年10月31日までを①出来事前の期間とします。令和5年11月1日~令和5年12月31日までを②出来事後の期間とします。

11月2日の場合

 令和5年6月5日~令和5年11月1日までを①出来事前の期間とします。令和5年11月2日から令和5年12月31日までを②出来事後の期間とします。

11月30日の場合

 令和5年6月5日から令和5年11月29日までを①出来事前の期間とします。令和5年11月30日から令和5年12月31日までを②出来事後の期間とします。 


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