精神障害の労災認定に関し、必要な調査事項を取上げます。
精神障害と労災
業務による強い心理的負荷による精神障害は、労災の業務上疾病として扱われる可能性があります(労基法施行規則別表第1の2第9号)。
精神障害の労災認定基準については、取上げました。今回は、労災の認定に際し、必要な調査事項を取上げます。
精神障害の労災認定のために必要な調査事項
精神障害の労災認定に関し、必要な調査事項は、以下の3つです。
①対象疾病の発病・発病時期の確認
労災認定の前提として、精神障害の発病の有無と発病時期を確認する必要があります。
精神障害の治療歴がある場合は、主治医に対して意見照会を行うことで、主治医が考える疾患名、発病時期、診断根拠を確認することができます。
精神障害の治療歴がない場合は、家族、職場の上司・同僚・部下等の関係者から、精神障害の特徴に関連すると思われるエピソードについて、いつ、どのようなエピソードかを具体的に確認します。
過労自殺の事案は、治療歴がないことも多くあります。関係者から労働者の行動・言動・様子等、精神障害に特徴的な症状に関する調査を行い、精神障害の発病の可能性、発病時期等の医学的判断を的確に行えるようにする必要があります。
②業務による強い心理的負荷の有無の調査
職場の上司・同僚・部下等の関係者から発病前6か月間の間に、業務による強い心理的負荷となる出来事を、いつ、どのようなことがあったかを具体的に確認します。
労働時間に関する資料、業務内容に関する資料、その他労働者が強い心理的負荷であったとする出来事と出来事後の変化等について客観的資料を収集することが重要です。
産業医から、労働者が所属する職場の労働衛生水準に関する意見、職場の精神健康面の問題点の有無、過去の精神健康上の問題について、意見を求めることも有益です。
③業務以外の心理的負荷・個体要因の調査
関係者から発病前6か月間の業務以外の心理的負荷に関し、いつ、どのようなことがあったかを確認します。
個体要因とは、個人に内在している脆弱性・反応性のことです。ストレスチェック・医師面接指導記録等が参考になります。通常、精神障害で労災請求する労働者から積極的に提供されることはありません。
既往の精神障害、現在治療中の精神障害、アルコール依存状況等の存在が明らかな場合は、その内容を確認する必要があります。