労災の業務上疾病の内、蛋白分解酵素にさらされる業務による皮膚炎等の労災認定を取り上げます。
蛋白分解酵素にさらされる業務による疾病
蛋白質を人工的に分解させることを目的として開発された蛋白分解酵素にさらされる作業環境下において業務に従事することにより発生する皮膚炎、結膜炎又は鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患は業務上疾病として扱われます(労基法施行規則別表第1の2第4号4)。
蛋白分解酵素
蛋白分解酵素は、タンパク質やペプチドなどのペプチド結合を加水分解する酵素の総称です。プロテアーゼとも呼ばれています。合成洗剤等に、含有されています。
蛋白分解酵にさらされる業務
該当する業務としては、タンパク分解酵素の製造、合成洗剤の製造又は合成洗剤を使用して行う洗浄の業務などが挙げられます。
皮膚炎
皮膚炎として、湿疹が挙げられています。
結膜炎
酵素の溶液に接したときに起こる結膜の炎症が挙げられています。
鼻炎
酵素の粉じんを吸入したときに起る急性鼻炎が挙げられています。
気管支喘息
酵素の粉じんを吸入したときに起こる気管支喘息が挙げられています。
呼吸器疾患
気管支喘息等の呼吸器疾患としては、息切れ・胸痛・気管支攣縮・気管支炎及び流行性感冒に似た症状が挙げられています。
その他の肺疾患
その他の肺疾患として、洗剤工場作業者肺が挙げられます。この疾患は、合成洗剤の製造工場で発生することがあります。グラム陽性桿菌の枯草菌の産生する蛋白分解酵素を吸入することで、発症すると考えられています。
労災の認定
労災の認定に当たっては、①職歴、②既往歴、③取扱った合成洗剤等に蛋白分解酵素が含まれているかを把握する必要があります。
蛋白分解酵素による疾病は、ばく露から離れると、軽快します。元の環境に戻ると、再発します。過去に、このような経過があったかを把握することも、労災の認定に際し、参考になります。