VDT作業による眼精疲労の労災認定を取上げます。
眼精疲労と業務上疾病
眼精疲労は、視機能に過度の負担のかかる作業態様に起因して発症する視覚障害として、労基法施行規則第1の2第3号5の「その他身体に過度の負担のかかる作業態様の業務に起因することの明らかな疾病」として、業務上疾病として扱われる可能性があります。
適度な休息・睡眠によって回復する程度の単なる眼精疲労は、労働に支障をきたすとして療養が必要な程度には至りません。
したがって、眼精疲労の業務上外の認定には、眼に過度に負担のかかる作業態様に着目するとともに、単に眼精疲労という診断名だけではなく、その原因・病態についても十分に調査するようにとされています。
VDT作業による眼精疲労
VDT作業従事者に発症した眼精疲労の業務起因性の判断は、①医学的診断、②症状だけではなく、③作業環境、④作業態様、⑤作業従事時間、⑥業務量等を調査の上、総合的に判断されます。
業務上疾病として扱われる場合
眼精疲労を発症した労働者に、①視器因子(眼の疾病)、②内環境因子(全身疾患・心因性の疾病等)が存在していても、以下のような場合は、業務上疾病として扱われます。
①②の程度が、通常の眼への負荷では、眼精疲労を発症させない程度であったことが医学的に認められ、かつ、外環境因子(悪い作業環境・作業条件下のVDT作業、長時間のVDT作業)が①②に著しい影響を及ぼした場合は、眼精疲労に業務起因性が認められます。