建設業で発生件数の多い飛来・落下事故を取上げます。
建設現場で上から物が落ちてケガした…

現場で上から何か落ちてきてケガしたんだけど…これってボクが悪いのかな…💦

それ、建設現場ではよくある事故なんだよ。ウサラが悪いわけじゃないし、労災の対象になる可能性も高いんだ。
建設業における飛来・落下事故
厚労省が公表した「令和6年度の労働災害の発生状況の分析等」によると、建設業における飛来・落下事故の死傷者数は、1,139件でした。飛来・落下事故は、建設業において多く発生する労災事故の類型といえます。
建設現場では、高所作業、重機をしようした作業が行われています。また、足場が組まれ、クレーンが存在します。屋外の建設現場は、強風にさらされる場所が多く、建設資材・機材が強風に飛ばされ落下するケースがよくあります。クレーンや重機といった建設機材が落下すると、重大な事故に発展します。ヘルメットや安全帯の着用だけでは、事故を防げません。
飛来・落下事故は、作業員のミスで発生するケースもあります。建設業では、元請け、下請け、孫請けなど、多層的な現場構造により、責任の所在が曖昧になることがあります。
建設業における飛来・落下事故の労災認定
労災と認定されるには、①業務遂行性があることを前提に、②業務起因性があることが必要です。
労働者が業務に従事していれば、業務遂行性が認められます。業務起因性は、業務に内在する危険が現実化したという要件です。
建設現場での作業中に発生した飛来・落下事故は、業務遂行性・業務起因性ともに認められます。
主な労災保険の補償
建設業における飛来・落下事故で労災と認定された場合の主な労災保険の補償は、以下のとおりです。
治療費
労災保険から治療費が支給されます。労災の指定病院で治療を受けた場合は、病院へ直接、支払われます。労災の指定病院以外で治療を受けた場合は、いったん、治療を立替える必要があります。

詳しくは、以下の「労災の治療費」を参照
休業補償
療養のため仕事ができなかった場合、休業補償給付が支給されます。休業補償給付は、給付基礎日額の60%が支給されます。休業補償給付とは別に、特別支給金として給付基礎日額の20%が支給されます。

詳しくは、以下の「休業(補償)給付」を参照
障害補償給付
後遺障害が残った場合、後遺障害等級に応じて障害補償給付が支給されます。1級~7級は年金、8級~14級は一時金として支給されます。

詳細は、以下の「障害(補償)給付」を参照
よくある誤解と注意点
建設業における飛来・落下事故に関して、よくある誤解をまとめました。
| よくある誤解 | 正しい理解 |
| 自分のミスだから労災じゃない | 労働者の不注意で発生した事故も労災になる |
| 軽傷だから労災請求しない | 労災事故で健康保険は使えないので、労災保険の請求をする |
| 会社が下請だから労災の手続してくれない | 労働者が労基署に労災保険の請求できる |
建設業における飛来・落下事故に遭った際のチェックリスト
建設業における飛来・落下事故に遭った際の行動チェックリストです。参考にしてみてください。
| チェック項目 | 確認ポイント |
| □作業中の飛来・落下事故 | 日時、場所、作業内容、事故状況を記録 |
| □医師の診断書の入手 | 労災指定病院の場合は不要 |
| □会社・元請会社に報告 | 会社が労災保険の請求をしてくれるか確認 |
| □労災保険の請求に必要な資料・書類の入手 | 労基署や弁護士に相談し確認 |
| □労災保険の請求 | 会社が労災保険の請求をしてくれない場合は自分でする |
| □弁護士に相談 | 特に会社が労災保険の請求をしてくれない場合は弁護士に相談するのをおすすめ |
建設業における飛来・落下事故の事例
建設業における飛来・落下事故の事例を紹介します。
吊上げ作業中の落下
重機で建設資材を吊上げ作業中に、ワイヤーが切れて建設資材が落下し、作業員に直撃して負傷
※労災認定、元請会社に対する損害賠償請求
足場材の落下
足場解体作業中に、資材が落下し、作業員に直撃して負傷
※労災認定、元請会社に対する損害賠償請求
建設業における飛来・落下事故でケガをされた方へ
建設業における飛来・落下事故は、重症化しやすい事故類型です。直ちに、会社に報告し、病院で治療を受けましょう。そして、日時・場所・作業内容といった事故状況を整理し、労災保険の請求をしましょう。
会社が労災保険の請求の手続きに協力的でない場合は、一人で悩まず、弁護士に相談することで、労災保険の補償を受けられる可能性が広がります。法律事務所エソラは、労災の初回相談は無料です。

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