災害の原因が暴風雨等の自然災害だった場合、労災と認定されることはありますか?
天災地変による災害は労災ではない
暴風雨・水害・土砂崩れ・落雷・雪害等の天変地異は、業務と無関係の自然現象です。したがって、天災地変による災害が業務遂行中に発生したとしても、業務起因性が認められないのが原則です。
つまり、原則として、天災地変による災害は、労災とは認定されません。ただし、業務の性質・内容、作業条件・作業環境、事業場施設の状況などから、天災地変に際して災害を被りやすいという場合は、天災地変による災害も業務に伴う危険としての性質を持ってきます。
天災地変による災害が同時に、天災地変による災害を被りやすい業務上の事業があり、その事情とあいまって発生したと認められる場合は、業務に伴う危険が現実化したとして業務起因性が認められます。
業務起因性が認められる具体例
以下のような場合は、業務起因性が認められる可能性があります。
業務起因性が認められる具体例
①天災地変による緊急事態に臨み、同僚労働者の救護作業や事業場の施設防護・物品搬出作業を行ったことに起因して災害を被った場合
②特命により被災地へ出張して被災した場合
③避難・出水・土砂崩れ・落雷など天災地変に際して被災する危険性の高い作業環境、作業条件、事業場施設において被災した場合
落雷による災害
落雷による災害は、性質上、被災の危険性が、常識的に予見されない場合が少なくありません。
①平坦地における高所作業や雷雨時の屋外作業など落雷の危険を予見できる場合と②落雷の事実により結果的に落雷の危険があったと確証できる場合があります。
両者とも落雷による被災の事実があった以上、落雷による被災の危険があったことは変わりはなく、危険が予見できたかどうかは、危険の有無とは関係がないと解されています。
したがって、落雷による被災という事実があって、業務遂行性が認められる場合は、他に被災労働者自身が、ことさら落雷の危険を招くようなことをしたという事情がなければ、落雷の危険がある業務上の事情のもとにあったことに起因すると推測されると解されています。
以上のとおり、業務遂行性がある場合の落雷による被災は、落雷による被災の経過が経験則上説明でき、被災労働者が積極的に落雷の危険を招いていないのであれば、業務起因性が認められます。
したがって、労災と認定されます。