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通勤災害と就業関連性


労災の通勤災害の要件のうち、就業関連性を取上げます。

就業関連性とは

 通勤災害は、労働者が①就業に関し、②住居と就業場所を往復した際に生じた災害であることが必要です(労災保険法7条2項)。

 したがって、労働者の移動行為が、業務につくため又は業務が終了したことによって生じていることが必要です。

通勤災害と労災

通勤途中の事故は、通勤災害として労災の対象になります。通勤災害の概略を解説します。

 移動行為が、業務と密接に関連していることが必要があることを就業関連性といいます。

出勤時について

 出勤時の就業関連性の問題として、寝坊等による遅刻や交通機関のラッシュを避けるための早出があります。これらについては、会社の所定の始業時刻と若干の前後があっても、就業関連性があるとされています。

 また、業務に必要な書類などを自宅に忘れたために取りに帰る場合も就業関連性が認められています。

 なお、出勤途中に遅刻しそうになったため、会社の許可を得て休暇を取得して帰宅する途中の災害は、就業関連性が否定されます。

 また、就業開始前に労働組合の集会に参加するために、出勤時刻より1時間30分早く会社に向かった労働者の災害について、就業関連性が認められています。

退勤時について

 所定の終業時刻より前に早退する場合でも、その日の業務を終了して帰宅すると考えられるので、就業関連性が認められています。

 業務終了後に会社内でサークル活動や組合活動を行っていて、退勤が遅れた場合、業務終了後に会社に残っていた時間が社会通念上、就業と帰宅との直接の関連性を失わせると認められるほど長時間でなければ、就業関連性が認められます。通達によると、業務終了後に会社での私的な理由に基づく滞在がおおむね2時間を超えると就業関連性が否定されます。

昼休み中

 そもそも、休憩時間は労働者が自由に行動することができる時間で、その間の行為は労働者の私的行為です。

 したがって、昼休み中に近隣の飲食店で食事のために外出して災害にあった場合は、就業関連性は認められません。

 もっとも、通勤は1日1回しか認められないということではありません。昼休み等就業の時間に間に間隔があり、食事等のために自宅へ戻るような場合、午前中の業務を終了して帰宅し、午後の業務に就くために出勤すると考えられるので、その往復については就業関連性が認められます。

その他

 すべての従業員に参加が命じられ、参加すると出勤扱いとされる会社主催の運動会等の行事に参加する場合等、その活動中の災害が業務上災害と扱われる活動に参加する場合、その活動に参加するための往復は、通勤に該当し、就業関連性が認められます。


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