MRSA感染症の労災認定基準

労災の業務上疾病の内、MRSA感染症の労災認定基準を取上げます。

MRSA感染症と労災

 MRSA感染症は、メチリシリン耐性黄色ブドウ球菌が病原体の感染症です。メチリシリン耐性黄色ブドウ球菌は、主として医療機関内で発生します。

 MRSA感染症の症状は、表層感染としての皮膚の化膿巣・中耳炎等があり、深部感染として髄膜炎・肺炎等があります。

 労災としては、①労働者が療養中にMRSA感染症に感染する場合と、②医療従事者が業務遂行中に感染する場合があります。

C型肝炎,エイズ及びMRSA感染症に係る労災保険における取扱いについて(平成5年10月29日基発第619号)

 MRSA感染症の労災認定基準は,労災で療養中の患者の場合と医療従事者等の場合に区別されています。

労災で療養中の患者の場合

 労災で療養中の患者の場合,以下の要件をすべて充足する場合は,労災と認定されます。

 ①労働者が療養を行っている医療機関において,MRSAに感染していることが確認された入院患者等がみられる

 ②感染症状が認められる部位からMRSAが検出されている

 ③労災で療養中の患者が療養を行っている医療機関以外で感染したものでない

医療従事者等の場合

 医療従事者等の場合のMRSA感染症は,一般的に深部感染は考えにくいとされています。そのため,労災保険では,表層感染に限定し,以下の要件を充足する場合は,労災と認定します。

 ①医療従事者等の勤務する医療機関においてMRSAに感染していることが確認された入院患者等がみられる

 ②感染症状が認められる部位からMRSAが検出されている

 ③業務以外の原因によるものでない