労働者が労災保険の給付を受けずに死亡してしまった場合、労災保険の給付はどうなるのでしょうか?
未支給の労災保険給付
労災事故で負傷した又は業務上疾病にり患した労働者が、労災保険の給付を受けずに死亡した場合、被災労働者が、労災保険から給付を受けることのできた労災保険給付の請求権は失われません。
労災保険法11条に、労災保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合の規定があります。
未支給の労災保険給付を請求できる人
死亡した者に支給すべき保険給付で、まだ支給されていない給付がある場合、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹で、その者と生計を同じくしていた者は、自己の名で未支給の労災保険給付を請求することができます。
生計を同じく
遺族(補償)年金の支給要件である生計維持関係とは異なります。
遺族補償年金の支給要件の生計維持関係については、以下の記事参照
遺族補償年金と異なり、生計を維持されている必要はありません。生計を維持されていた場合は、生計を同じくしていると推定されます。
自己の名で
死亡した労働者が亡くなる前に労災保険給付を請求していなかったときも、自己の名で労災保険給付を請求することができるとされています(労災保険法11条2項)。
請求権者の順位
未支給の労災保険給付の請求権者の順位は、①配偶者→②子→③父母→④孫→⑤祖父母又は兄弟姉妹の順です。
未支給の労災保険給付が、遺族(補償)年金の場合の順位は、①配偶者→②子→③父母→④孫→⑤祖父母→⑥兄弟姉妹の順です。
同順位の請求権者が複数いる場合
同順位の者が二人以上いる場合、そのうちの一人が行った請求は、全員のために全額について請求したとみなされ、一人に対して行った支給は全員に対して行ったとみなされます(労災保険法11条4項)。
労災保険法はこのように規定してますが、請求人の人数に応じて等分して支給することが禁止されているわけではありません。