会社への通勤途中の事故でケガした場合、通勤災害として労災になります。寄り道してた場合も労災になるの?交通事故の場合も労災になるの?そんな疑問を解きほぐします。
会社に行く途中に事故でケガした…

会社に行く途中に、事故でケガしちゃって…

通勤災害で労災になるよ。

労災って、仕事中の事故だけじゃないんだ!?
通勤途中の事故も労災
会社への通勤途中の事故でケガをした場合、通勤災害として、労災となります。労災なので、基本的に、仕事中の事故によるケガである業務災害と同じ給付を受けられます。

通勤災害の要件については、以下の「通勤災害と労災」を参照
いつもと違う手段で通勤した場合は?

いつもと違う路線の電車に乗ったんだけど…
問題ないのかな?

通勤のための合理的な経路・方法なら、通勤災害になるよ。
通勤途中の災害が通勤災害と認められるには、通勤が「合理的な経路及び方法」であることが必要です。通勤のために通常利用する経路であれば、複数の経路があっても、それらは、全て合理的な経路に当たります。
会社に届出してる経路じゃなくてもいい
たとえば、自宅‐会社間で、JRと私鉄が並走している場合、JR・私鉄のどちらを利用しても、合理的な経路に当たります。
会社には、JRで通勤すると届出していても、私鉄を利用して通勤している途中の事故でケガをした場合は、通勤災害になります。

詳しくは、以下の「合理的な経路・方法」を参照
通勤途中で寄り道してた場合は?

ところで、何でいつもと違う路線の電車に乗ったの?

コンビニに寄ってたら、電車が行っちゃって。
えっ?何か問題なの?

コンビニに寄った程度なら、大丈夫。
通勤災害と認められるには、移動行為に、合理的な経路の逸脱・中断がないことが必要です。
逸脱は、通勤途中に、通勤と無関係な目的で、合理的経路を逸れることです。中断は、通勤途中に、通勤と関係のない行為を行うことです。
逸脱又は中断の間は、通勤と認められません。さらに、逸脱又は中断の後も通勤と認められません。
なお、以下のような通勤途中で行うささいな行為は、逸脱・中断とは扱いません。
逸脱・中断とは扱わない例
経路近くの公衆トイレを利用する
経路上の店でタバコや雑誌などを購入する
経路近くの公園で短時間休憩する
駅構内でジュースの立ち飲みをする
日常生活上必要な行為のための逸脱・中断はOK
労働者が通勤途中で、逸脱・中断をした場合、その後、一切、通勤とは認められません。しかし、日常生活上必要な行為として労災保険法施行規則8条に規定されているものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合は、合理的な経路に戻った後は、通勤と認められます。
たとえば、日用品の購入や病院で診察を受けるなどの行為です。

詳しくは、以下の「通勤災害と通勤からの逸脱・中断」を参照
通勤災害と通勤からの逸脱・中断(労災保険給付)
通勤途中に事故に遭った場合、通勤災害として労災の対象になります。しかし、通勤途中に合理的経路を離れたり、通勤と関係ないことを行ったりすると、通勤災害と認められません。
通勤災害が交通事故の場合は?

通勤途中の事故は交通事故なんだけど、保険会社から治療費とか支払われるから、労災にしなくていいよね?

通勤災害として、労災保険から給付を受けた方が手取りが多くなるよ。
通勤災害が、対自動車やバイクとの交通事故の場合、事故の相手方の自動車保険から損害の賠償を受けることができます。そうすると、わざわざ労災にする必要はなさそうです。
通勤災害として労災にした方が、メリットがあります。さらに、労災保険からの給付を先にもらう方がメリットがあります。
労災を先行するメリット
労災にするメリットは、①手取りが増えることと②治療中に保険会社とやり取りすることがないことの2つです。
①手取りが増える
通勤災害も基本的に業務災害と同じ給付を受けることができます。つまり、通勤災害の場合も特別支給金を受給できます。特別支給金は、損害賠償から控除されません。したがって、特別支給金の分、最終的な手取りが増えます。
また、交通事故について、被害者に過失がある場合、労災保険から給付を受けることで、手取りを増やすことにつながります。
②治療中に保険会社とやり取りすることがない
労災ではない交通事故の場合、通常は、保険会社が医療機関に直接、治療費を支払います。保険会社が治療費の支払いを打ち切ることがあります。
労災保険を使って治療をする場合、保険会社が医療機関に治療費の支払いをしません。保険会社が、治療費を打ち切るということがないのです。
また、労災保険から休業給付が支給されるので、保険会社に休業損害の内払いを請求しない場合は、治療中に、基本的に、保険会社とやり取りすることがありません。交通事故の被害者の場合、保険会社とのやり取りがストレスになることがあります。労災保険の給付を先に受けることで、こうしたストレスがなくなります。
通勤途中の事故でケガをされた方へ
通勤途中の事故でケガしたので労災の請求をしたい、通勤途中の事故だけど通勤災害になるかわからない、交通事故だけど労災にした方がいいのかわからないなど、疑問や不安を感じている方も多いでしょう。
このような疑問や不安を一人で抱え込んだままにせず、専門家である弁護士にご相談ください。

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