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安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の消滅時効(労災の損害賠償)


安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求は、いつ消滅時効にかかるのでしょうか?

安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の消滅時効

 現行民法は金銭債権の消滅時効期間を10年と規定しています。債務不履行責任である安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の消滅時効期間は10年です。消滅時効の起算点は、民法166条1項は、「権利を行使することができる時」と規定しています。

 なお、改正民法施行後の消滅時効期間は、5年になります。

にゃソラ

詳しくは、以下の「労災の損害賠償と民法改正」を参照

労災の損害賠償と民法改正

民法の債権法が改正されます。民法の改正が、労災の損害賠償請求にどのような影響を与えるのか?を解説します。

安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の消滅時効の起算点

 前述のとおり、債務不履行に基づく損害賠償請求の消滅時効は、「権利を行使することができる時」から進行します。この場合、権利を行使し得ることを知る必要はないと解されています。

 1回的な権利侵害、たとえば、工場の機械に指を挟まれた等の典型的な労災事故については、消滅時効は事故時から進行します。

 しかしながら、安全配慮義務の内容は、具体的な状況等により異なるのと同様に、安全配慮義務の履行期間も一律ではなく、具体的な状況等によって、異なってきます。裁判例は、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の消滅時効の起算点を具体的な状況等に応じて判断しています。

継続的な権利侵害の場合の消滅時効の起算点

 特定の業務に付随して継続的に発生する安全配慮義務が問題になり、かつ、それによる被害が期間の経過によって発生・進行する場合は、被用者が使用者に対し、安全配慮義務の履行を請求する余地がなくなった時点(退職時)から消滅時効が進行するとする裁判例が多く見られます。


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