労災保険の業務上疾病のうち、業務上の負傷又は異物の侵入・残留による眼疾患その他の臓器、組織の疾患を取上げます。
業務上の負傷又は異物の侵入・残留による眼疾患その他の臓器、組織の疾患
業務上疾病には、業務上の負傷又は異物の侵入・残留による眼疾患その他の臓器、組織の疾患の他に、顔面部視器の損傷による眼疾患、眼球内の異物侵入による眼疾患などもあります。
頭部損傷による眼疾患
頭部の外傷によって、大脳の視覚領域・視神経を損傷した場合の視力障害や視覚障害が挙げられます。
顔面部視器の損傷による眼疾患
単純角膜潰瘍・匐行性角膜潰瘍・外傷性線状角膜潰瘍・外傷性白内障等が挙げられます。
匐行性角膜潰瘍は、角膜の中央部に受けた微細な外傷に引続き、異物感・羞明・疼痛・流涙とともに円板状の潰瘍が生じる化膿性の角膜潰瘍のことです。突き目ともいわれています。
外傷性白内障は、打撲等の強度、水晶体の所見、その他から外傷に起因していることが、医学上明確に認められることが必要です。
特異なものとして、交感性眼炎が挙げられます。一方の眼球に穿孔性外傷を受け、毛様体、虹彩等のぶどう膜組織が比較的多量に破壊された場合、受傷後1か月程度を経て、両眼に急性びまん性ぶどう膜炎が起こるものです。
眼球内の異物侵入による眼疾患
眼球内に異物が侵入すると、異物からの感染によって、化膿性ぶどう膜炎を起こすことがあります。異物が無菌でも金属の破片のように放置すると、化学反応が起き、炎症が起こることがあります。鉄の場合は眼球鉄症、銅の場合は化膿炎症、鉛の場合は線維素性炎症が起きることがあります。