労災の業務上疾病の内、熱中症の労災認定基準を取上げます。
熱中症とは?
熱中症とは、夏の炎天下における屋外作業・炉前作業者・ガラス作業員・ボイラー作業員・圧延作業員など温度の高い作業に従事した際に、高温・湿度等の要因があいまって、体温の熱放散が困難になり体温調節機能が阻害されて起こる熱虚脱・熱疲はい・熱けいれん等を主たる症状とする疾病です。
熱中症には、日射病と熱射症が含まれます。いずれも熱放散が妨げられる条件下で発生し、本質的な差はないとされています。
労基法は、「暑熱な場所における業務による熱中症」を業務上疾病として規定しています(労基法施行規則別表第1の2第2号の8)。
熱中症の症状
前駆症状として、頭痛、めまい、耳鳴り、疲労、あくび、朦朧感等があります。発汗が停止し、著しい体温上昇とともに突然意識障害をきたします。
体温上昇の著しいものやうわごとを発するようなものは、予後不良とされています。前駆症状の間に冷気中に出ることで、速やかに回復します。
熱中症の労災認定基準
熱中症が労災として認定されるには、①一般的認定要件と②医学的診断要件を満たす必要があります。
一般的認定要件
一般的認定要件は、以下の3つです。認定に際しては、労働者の従事する作業環境条件・作業態様・労働時間・作業場の温湿度条件・服装・発病時期等を総合して判断されます。
一般的認定要件
(1)業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にしえる原因が存在すること
(2)当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病の間に因果関係が認められること
(3)業務に起因しない他の原因による発病(憎悪)したものではないこと
医学的診断要件
医学的診断要件は、以下の3つです。
医学的診断要件
①作業条件及び温湿度条件等の把握
②一般症状の視診(けいれん、意識障害等)及び体温測定
③作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断